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物理学コース宮丸文章教授の研究グループが,時間壁の前後における電磁波の振動状態の変化を実験的に観測しました。

2021/08/02
[概要]
理学科物理学コース 宮丸文章 教授,京都大学 中西俊博 講師,大阪大学 中田陽介 准教授,沖縄科学技術大学院大学 Keshav M. Dani 教授らの研究グループは,テラヘルツ波の周波数領域において,時間壁の前後における電磁波の振動状態の変化を実験的に観測しました。
2つの異なる媒体の空間的な界面を電磁波が通過するとき,空間的な波長が変化します。これは日常生活でよく見られることで,光の屈折という現象と関係しています。これの時間的な対応物として,その界面が時間的に現れる(時間壁)と,時間的な波長,すなわち振動周期が時間壁の前後で変化し,結果として電磁波の周波数が変化する現象が考えられます。このような時間的な屈折は,時間変化する物理学の最も基本的な要素の一つですが,応用面では効率的な周波数変換を実現することにつながります。
しかしながら,空間的な屈折現象は容易に観察できるものの,時間壁前後の電磁波のダイナミクスの観察は,超高速かつ効率的な変調が困難であるため非常に困難でした。この研究では,時間壁を生成する際に電磁波が存在している物質全体ではなく,物質の一部分を時間的に変調する手法を用いることで,その問題を解決しました。電磁波の周期よりも十分に短い時間間隔(フェムト秒程度)で高効率な超高速変調を行うことにより,時間壁前後における周波数変換とそのダイナミクスを時間軸に沿って観察することができました。
本研究成果は,米国物理学会(American Physical Society)が刊行する国際誌Physical Review Letters誌に2021年7月30日付で掲載されました.

[論文タイトル]
Ultrafast Frequency-Shift Dynamics at Temporal Boundary Induced by Structural-Dispersion Switching of Waveguides

[著者]
Fumiaki Miyamaru, Chihiro Mizuo, Toshihiro Nakanishi, Yosuke Nakata, Kakeru Hasebe, Shintaro Nagase, Yu Matsubara, Yusuke Goto, Joel Pérez-Urquizo, Julien Madéo, and Keshav M. Dani

[論文掲載ページURL]
https://journals.aps.org/prl/abstract/10.1103/PhysRevLett.127.053902
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