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生物学ユニットの野堀貴仁さんが、日本動物学会中部支部大会において最優秀ポスター発表賞を受賞しました。

2025年12月19日
2025年12月6-7日に静岡大学で開催された令和7年度 日本動物学会中部支部大会において、総合理工学系研究科 理学専攻 生物学ユニット1年の野堀貴仁さん(東城研究室)が最優秀ポスター発表賞を受賞しました。受賞題目は以下のとおりです。

【発表者・題目】
*野堀貴仁・竹中將起・東城幸治「地理的単為生殖昆虫・オオシロカゲロウの両性・単為生殖系統間での発現遺伝子の比較解析から探る単為生殖関連遺伝子」
【研究内容】
本研究で注目するオオシロカゲロウは、東アジア地域に広く生息する昆虫種ですが、日本列島内でメスだけで系統を維持できる単為生殖系統の進化が生じました。安定した環境下では、効率よく世代を繋ぐことができることから、急激に増加し、両性生殖系統が生息していた集団に置き換わるように分布拡大しています。この単為生殖系統の起源は西日本ですが、現在では東日本にまで分布域を拡大しています。
こうした地理的単為生殖種の利点を活かし、千曲川(単為生殖系統)と多摩川・日野用水(両性生殖系統)の2つの地域集団間での発現遺伝子の比較解析を実施しました。日野用水の両性生殖系統では、交尾後約6時間程度で雌性前核(n)と精子(n)の受精(2n)が起こる一方、千曲川の単為生殖系統では減数分裂後の卵母細胞を産卵しますが、産卵後約7時間で、雌性前核(n)と本来は退化するはずの第二極体核(n)とが融合することで核相復帰(2n)が起こります。そのため、両系統において、産卵後4.5時間から7.0時間までの各発生段階の卵に対するRNA-seq(発現遺伝子の網羅的解析)を実施し、両系統間での比較解析から単為生殖への関与が示唆される候補遺伝子を絞り込みました。
単為生殖は、真核生物のさまざまな分類群から知られていますが、その原因遺伝子は究明されておらず、発生遺伝学のモデル生物であるショウジョウバエ類においてさえも、候補遺伝子の追究が議論され始めた段階であり、今後の研究の進展が期待されます。

【詳細情報へのリンク】
https://www.zoology.or.jp/archives/news/news-6894
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