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生物・大気・水環境科学ユニットの吉田匠さんが国際学会においてBest Poster Awardを受賞しました。

2024年8月1日
2024年7月21日-26日にイタリア・トリノ大学で開催された「2024 Joint Meeting of the 17th International Conference on Ephemeroptera and 21st International Symposium on Plecoptera(国際カゲロウ・カワゲラ学会 合同大会)」において、大学院総合医理工学研究科総合理工学専攻山岳環境科学分野生物・大気・水環境科学ユニット博士課程1年の吉田匠さん(東城研究室)がBest Poster Awardを受賞しました。Ephemeroptera, Plecoptera 研究それぞれ1件ずつがベストポスターとして選考され、Ephemeroptera に関する30件の発表のうちのベストポスターに選ばれました。発表タイトルは以下のとおりです。

【発表タイトル】
●Takumi YOSHIDA, Masaki TAKENAKA, Koji TOJO「Molecular phylogeography of Baetis thermicus, a dominant species in the rivers of the Japanese Archipelago」
【概要】
研究対象であるシロハラコカゲロウは、約100年前に北アルプス・上高地の玄関口である中の湯で発見され、新種記載されたカゲロウ目昆虫ですが、現在では北海道から琉球列島までの広域に分布することが知られ、同じ水系内でも源流から下流までの多様なハビタットに生息する「ハビタット・ジェネラリスト」種とされています。
日本列島広域(周辺の島嶼も含む)から採取した本種を対象に、昆虫のDNAバーコード領域の解析や、ゲノムワイドなSNPs解析を実施し、遺伝的に大きく分化した複数の遺伝系統群から構成されることや、同一河川においても上流と下流の個体群間では遺伝子流動が生じていないことなどを究明しました。
この結果は、日本の広域で、それぞれの地域の湿岩環境、上流環境、下流環境へと平行的な適応進化が生じていることを明示したと言えます。
また、これらの遺伝的に分化した系統群ごとに、走査型電子顕微鏡を用いた形態形質の比較観察も実施し、形態形質にもわずかな相違があることを見出しました。
隠れた遺伝的多様性の究明に加えて、種多様性においても現在の評価は依然として過少的であることを議論し、「生物多様性の世界的ホットスポット」としての日本列島をアピールしました。近年に日本で開発されたゲノムワイドなSNPs解析(GRAS-Di解析)に関する質問も多く寄せられ、新たな解析手法への関心も高かったようです。

【関連リンク】
INTERNATIONAL JOINT MEETING ON EPHEMEROPTERA AND PLECOPTERA
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