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生物学コースの新沼勇人さんが「日本魚類学会 第57回年会」において「最優秀ポスター発表賞」を受賞しました。

2023年9月26日
2023年9月1日-4日、長崎大学文教キャンパスで開催された「日本魚類学会第57回年会」において、理学部生物学コース4年の新沼勇人さん(東城研究室)が最優秀ポスター発表賞を受賞しました(78件の口頭発表、117件のポスター発表の中から、それぞれ1件ずつが最優秀発表賞を受賞)。受賞題目は以下の通りです。

【受賞題目】
「サハリンおよび北海道におけるフクドジョウの遺伝的集団構造 ―北海道からサハリンへの逆分散 back dispersal―」
新沼勇人・小林建介・竹中將起・東城幸治(信州大・理)
【概要】
日本では北海道だけに自然分布し、サハリンやユーラシア大陸の東部に広く生息する淡水魚・フクドジョウ Barbatula toni を対象に、生息域を網羅するようなサンプリングを実施し、ミトコンドリアDNAと核DNAのそれぞれ複数領域の遺伝子解析を実施し、本種の系統進化史を詳細に追究しました。その結果、北海道は分布域の最末端地域であるものの、サハリンよりも遺伝的多様性が高く、更新世の「氷期-間氷期」サイクルのなかで、複数のリフュージア(避難地域)を有していたことが明らかとなりました。リフュージアごとに異なる遺伝グループが構成され、結果として現在の地域集団の遺伝構造が明確に分化していることや、サハリンから検出される遺伝子型は全て北海道の系統から二次的に派生したものであることが明らかとなりました。つまり、北海道からサハリンへの移動・分散が生じた可能性が強く示唆されました。

日本列島を舞台とした生物地理研究では、「いつ? どのルートで渡来したのか?」が焦点となることがほとんどですが、海水面が低下した氷期に陸橋で接続された際には双方向での往来も可能となります。北海道からサハリンへの「逆分散Back Dispersal」を示唆する稀な事例であり、どの遺伝子領域からもこの傾向が強く支持されたことが評価されました。
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