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信州大学 理学部 ようこそ、探求の世界へ。理学クエスト
牧田 直樹

牧田 直樹

講座:物質循環学コース
略歴:
2008年 神戸大学農学部卒業
2010年 神戸大学大学院農学研究科 修了
2013年 京都大学大学院農学研究科 修了(農学博士)
2010ー2013年 京都大学 日本学術振興会特別研究員(DC1) 2013ー2016年 森林総合研究所 日本学術振興会特別研究員(PD)
2014ー2016年 ヘルシンキ大学 日本学術振興会特別研究員(PD)
2016年 信州大学

キーワード:森林、土壌、根系、物質循環、環境保全
ホームページ:https://sites.google.com/site/rootecologylab/
SOARリンク:SOARを見る

あなたの知らない根の世界

土壌中に張り巡らされた根っこは、体を支えながら、生きるのに必要な水分や養分を土壌から吸収しています。植物が生きていくうえでとても大事なことをしています。しかし、その全貌を見ることはなかなかできません。根は土の中に隠れているからです。その隠された植物の地下部は、一体どのような姿をしているのでしょうか?また、どのような振る舞いをしているのでしょうか?土壌の中で生き抜くには、それ相応のストレスに耐えなければなりません。防御の必要性があります。一方、守ってばかりだと、何も得ることができないため、資源を獲得するための攻めの姿勢も必要です。私たちは、根が周りとのかかわりの中でどのように生きているのか、そしてその結果どのような生態系機能を発揮するのかを明らかにするため、植物が生きるうえで必要不可欠な「炭素」に注目して研究をしています。

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大きな根っこも小さな根っこも人力で丁寧に掘り進めていきます。


根系の炭素循環

根系における炭素の動きをみていきます。大気中の炭素はまず光合成によって葉っぱに固定されます。その一部は葉において成長や呼吸により消費され、残りの炭素は、 順次、枝や幹へと送られます。枝・幹に送られた炭素の一部は、葉と同様に成長や呼吸により消費され、残りの炭素が土壌中にある根っこに送られます。根っこまでやってきた炭素は、成長、呼吸による消費、貯蔵、滲出、共生生物(菌根菌)への移行、そして長い時間スケールで見ると、根系の被食・老化・枯死脱落は、もうひとつの経路です。私は、上記にあげた経路に、根に流れてきた炭素がどれだけ分配され、消費されているかを評価しています。炭素の動きを調べることにより、根や個体の物質生産にかかわる性質がどのように決まっているのかを明らかにすることができます。そこから、根の役割や生き方、さらには植物の生存戦略、植物ー土壌相互作用、森林の営みを考えていきたいとおもっています。森の中の(特に根系の)炭素の行方、一緒に追いかけてみませんか!