物理学コース 磁性物理学分野

磁性物理学とは

磁石が示す磁性(磁力)の主な原因は磁石を構成する原子に含まれる電子のスピンです。つまり電子をもつすべての元素が磁性を示すのですが、元素によって電子の数が異なり、磁性の種類や強さが異なります。たとえば鉄に代表される遷移元素の多くは磁気モーメントを持つため強い磁性を示し、磁石には必ず遷移元素が入っています。しかし、元素1つ1つの磁性が分かっても、物質の磁性を理解したことにはなりません。元素の組み合わせや、距離や配列により、お互いに及ぼしあう作用が異なってくるからです。電子が膨大な数(10の23乗個程度)集まった物質が作り出す磁性の多様性は無限にあるといって良いでしょう。同様に物質中の電子が作り出す興味深い現象としては超伝導がありますが、近年そのメカニズムに磁性が重要な役割を担うとして活発に議論されています。このように磁性は独立した研究分野ではなく、様々な物性現象と絡んで広がっていく魅力があり、応用面でも、磁石のみならず磁気冷凍材料や磁気記録など、多方面で新しい磁性材料の開発が求められています。

研究室では

私たちの研究室では、主に遷移元素からなる化合物の磁性を実験的に研究しています。高温炉を用いたサンプルの作製から始め、SQUID磁力計を用いた磁化測定や電気抵抗率、核磁気共鳴(NMR)、メスバウアー効果測定により磁性を多角的に調べています。1つの測定でも温度や磁場、圧力を変化させると物質はいろいろな顔を見せ、その応答により磁性が明らかになってきます。物質の組成(構成する複数の元素の割合)を変化させることによっても、磁性を系統立てて知ることが出来ます。こうして得られた様々な測定結果から物質の磁性が明らかになるさまは推理小説の謎解きにも似た面白さがあります。
この分野の教員紹介

天児 寧

磁化の温度変化が大きいと、大きなエントロピー変化が得られる

中島 美帆

科学という世界は,常に世界中のライバルと競争しなければならない過酷さを有す一方で,世界中の人と共通の話題で熱く語り合うことができるという魅力的な世界です
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