受験生向け研究紹介

宮西 吉久

数学科 解析学分野

線形作用素のスペクト ル理論とその応用

現在の研究テーマ:線形作用素のスペクト ル理論とその応用
物理現象から生命現象に至るまで、様々な現象は、微分や積分と呼ばれる計算を組み合わせて表現されています。例えば、音や電磁波の伝搬は、ラプラス作用素と呼ばれる (偏) 微分と呼ばれる計算を組み合わせた線形作用素で表現されています。さらに音の伝搬ならば、波長や周波数のように、音の高さを求めることになります。ここで音の高さに対応する言葉を、数学ではスペクトルと呼んでいます。

他の現象でも、様々な線形作用素のスペクトルを求めることは、現象の特徴を捉えることに繋がります。私の研究の目的は、多くの現象に対応する線形作用素とスペクトルの関係を調べることで、数学的な構造を捉えることにあります。
ノイマン・ポアンカレ作用素と呼ばれる線形作用素に対して、スペクトルを計算している例(図では、スペクトルに対応して振動している固有関数と呼ばれる関数の様子を図示している)。K. Ando, H. Kang, Y. Miyanishi, T. Nakazawa (2021) より
解けない方程式でも、対応するスペクトルなどの値ならば、捉え易い可能性があります。スペクトルには意味があることも多いので、様々な現象の説明にも利用できると考えています。また、量子力学、幾何学や数論とも深い関係があり、例えば数論では、ゼータ関数の零点と呼ばれる値とスペクトルの関係もみつかりつつあります。このように、線形作用素のスペクトルは、数学の進歩にも大きな役割を果たすと考えています。
電磁波の屈折は、線形作用素のスペクトルでコントロールされる。もし、電磁波の反射、屈折、干渉や回折を自由にコントロールできれば、透明人間(外部から見えない)ができる!
卒業後の未来像
すっきりとわかることや理解することに慣れることで、多くの分野で活躍する際にも、方針や理解が進むことと思います。将来、仕事を進める上でも、完全に理解する癖をつけておくことは、必ず役に立つと思います。
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