受験生向け研究紹介

江島 輝美

理学科 地球学コース 地球物質科学分野

鉱物の魅力

鉱物とは?

 鉱物学と言われると、少し堅苦しい印象を持たれる方もいるかもしれませんが、鉱物は我々の身近にあり、生活には欠かせないものがいくつもあります。例えば、ダイヤモンドは、宝飾品としてはもちろんですが、工業の分野で必要不可欠な研磨粉として使われています。石英という鉱物は、時計の部品である水晶振動子として、赤鉄鉱や磁鉄鉱から取り出される鉄は、ステンレスや鉄橋などを作るために、レアアース鉱物は、スマートホンの部品に利用されています。この他にも、化粧品や食器等、鉱物は様々なものに加工され、我々の生活に役立てられています。
 全ての鉱物が生活に役立てられるわけではありませんが、鉱物の種類は現在知られているだけでも約5600種もあります。新鉱物は一年間で数十種以上見つかっており、日本でも毎年数種類の新鉱物が発見されています。今後も新しい鉱物が発見され続けていくでしょう。そして、新たに発見された鉱物や特性を十分に解明されていない鉱物の研究が進むことで、我々の生活がより豊かになるかもしれません。あなたの足元にも、新種の鉱物が眠っている可能性があるのです。そう考えるとワクワクしませんか?
地球は鉱物でできている
 地球を半分に割ってみると、断面の約84%が岩石でできていると考えられており、その岩石は鉱物から構成されています。つまり、地球は大半が鉱物からできており、鉱物は地球の形成や進化過程を知るために重要な役割を果たしているのです。鉱物は、地球が誕生し、進化していく過程で生まれ、鉱物種によっては長い年月姿を変えることなく存在するものや、温度・圧力・酸素分圧等の変化で姿を変え、変化が起こった時の記録を残すものがあります。鉱物の中に残されたこれらの記録を正確に読み解くことができれば、地球の形成や進化過程を理解することができるはずです。しかし、鉱物が形成した後に受ける影響で形成時の記録をどのように変化させているのかは、全てが解明されているわけではありません。今後鉱物の研究がさらに進むことで、今までわからなかった地球の姿が明らかになっていくことでしょう。
玄武岩中のかんらん岩
長野県の魅力
 長野県は、2000m級の山々に囲まれ、その中には今も活発に活動する火山が存在します。活動的な火山の地下には、岩石の融けた液体であるマグマがあり、その中ではこの瞬間も鉱物が作られています。マグマから生まれた鉱物は、マグマ中の様々な変化を記録しています。このマグマ中の鉱物を直接取り出すことはできませんが、火山噴火によって地表にもたらされた溶岩や地表に姿を現した古い時代のマグマだった岩石を研究することで、火山活動の仕組みを知ることができるのです。
私は大学生の時から「火山活動に伴う酸化によって鉱物がどのように変化するのか」について研究をしています。鉱物が示めすマグマ中もしくは噴出後に受けた酸化による変化の記録は、雨風等による変質で失われてしまうものなので、なるべく新鮮な岩石を研究対象とする必要があります。幸いなことに、長野県には多くの活火山があり、新鮮な岩石を手に入れることができるので、研究する上で大変良い環境であると感じています。
 鉱物学に興味を持った方はぜひ信州大学に来てください。一緒に鉱物の不思議な世界を覗いてみましょう。
写真 左上:野外調査風景、右上:玄武岩とかんらん岩の顕微鏡写真、左下:かんらん石の結晶構造図 、右下:分析の様子。
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