理学部長あいさつ

理学部は, 何を行なう学部でしょうか? 英語では faculty of science と言いますが, scienceは普通「科学」と翻訳されます。どのような経緯で「理学部」という名称が使われるようになったのか分かりませんが,「ことわり」の学問という意味では, 「科学」より「理学」の方が理学部の役割を的確に表していると言えるでしょう。理学部では,物事の成り立ちや仕組みを筋道立てて考えることが中心だからです。特に, 自然現象の原理や法則を追求するのが理学部です。

一方, 高校までの「理科」も英語では science と言いますが,理科には数学は含まれません。数学は自然現象を調べる学問とは言えないからでしょう。しかしながら,ニュートンが力学と同時に微分積分学を整備したことからも分かるように, 数学と物理学は切っても切れない関係にあります。そして,物理学だけでなく, 自然現象を記述するための言語として数学は最適のものであり, 理学の基礎として重要な位置を占めています。そのため,信州大学を始めとして, ほとんどの理学系の学部で, 数学を学ぶ学科やコースが設置されています。数学そのものにも興味深い謎が数多くあり,日々研究されていますが, もちろん自然界も, 様々な不思議に満ちています。
そのような不思議な現象を納得するまで追求する人々が集まるのが理学部と言えるでしょう。
このように聞くと, 理学部の研究は浮世離れしていて, 理学部を卒業した後どんな職業に就けるのだろうか,と疑問に思う人も多いかもしれません。実は, この真理を論理的に追求する能力は, 複雑な現代社会の中で広く求められている資質であり, 多くの企業の就職担当者から理学部や理学系大学院の卒業生を求められています。金融やIT関係など, 学生時代の専攻と関連の薄い企業に就職する卒業生も数多くいます。もちろん, 教員や研究者を目指す学生も多く, そのような多様な学生のニーズに応えるため, 信州大学理学部では, 「先進プログラム」, 「標準プログラム」, 「学際プログラム」の三つの教育プログラムを用意しています。

信州大学理学部のもう一つの特徴としては, 学生と教員や大学院生の距離が近いことが挙げられるでしょう。例えば, 先進プログラムでは, アドバンス科目として, 進んだ内容の実験や演習を少人数で行なう科目が用意されています。また, 上級生や大学院生が下級生の疑問に答える場として,「サイエンスラウンジ」という仕組みがあり, 毎年多くの学生が活発に活動しています。

もちろん, 3000m級の美しい山々を望む地にあることも, 信州大学理学部で学ぶ大きな魅力と言えます。この美しい信州の地で, 是非, 自然の理 (ことわり) を追求してみて下さい。
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