2025.05.09

当宇宙科学研究センターのスタッフが参加するCERNのATLAS実験は、本年度2025年のブレークスルー賞(基礎物理学部門)を、CMS、ALICE、LHCbの各実験とともに共同受賞しました。ブレークスルー賞は米グーグルの創業者らが出資するブレークスルー財団が主催する自然科学などの国際的な学術賞です。
今年度の賞は、CERNの大型ハドロン衝突型加速器(LHC)におけるRun-2データ(2015年~2024年7月15日)に基づく画期的な研究成果に対して贈られたものです。中でも私たちのATLAS実験の成果はヒッグス粒子の性質の精密測定、素粒子物理学の標準理論を超える理論で予言される未知の粒子の探索など、素粒子物理の根本的な問いに迫るものです。
当センターのスタッフはATLAS実験の初めから関与し、ヒッグス粒子の発見にも寄与をしてきました。中でも、ミューオンと呼ばれる素粒子を高速かつ高精度に検出する「ミューオントリガーシステム」の開発・運用、ならびにヒッグス粒子や、トップクオークに関する詳細なデータ解析を中心的に担ってきました。また、2030年に稼働が予定されている高輝度LHC(HL-LHC)に向けて、次世代ミューオントリガーシステムの開発でも国際共同研究を牽引しています。
今回の賞金は、CERN & Society Foundationを通じて全額が次世代育成のために寄付され、博士課程の学生がCERNで研究経験を積むための支援に活用される予定です。今後も当センターは、国際共同研究を通じて、宇宙・素粒子の謎の解明に挑むとともに、次代を担う若手研究者の育成に貢献してまいります。