血液内科のご紹介


牧島 秀樹
診療科長ご挨拶
1. はじめに
信州大学附属病院 血液内科では、白血病・悪性リンパ腫・多発性骨髄腫などの血液がんに加え、再生不良性貧血・出血性疾患・免疫不全症などの血液良性疾患の診療も幅広く行っています。
血液疾患は、症状が出ないまま進行することも多く、正確な診断と適切な治療方針の決定がとても重要です。当科では、患者さまの病状・生活背景・ご希望に応じて、最適な医療を安全かつ丁寧に提供することを心がけています。
また、がん医療の進歩により、かつて治療が難しかった疾患にも治癒の可能性が見える時代となりました。大学病院としての高度な医療体制を活かし、専門性と温かさを兼ね備えた診療を提供してまいります。
2. 診療のご案内
診療は、まず丁寧な問診と診察をもとに、必要に応じて採血・骨髄検査・画像検査・遺伝子検査などを行い、正確な診断を行います。診断後は、国内外の最新のエビデンスと診療ガイドラインに基づき、科学的根拠のある治療をご提案いたします。特に近年は、 がんや骨髄疾患のゲノム解析の結果に基づく「分子標的治療」 が広く導入されており、従来の治療より副作用を抑えつつ、高い効果が期待できるようになっています。
また、治療の進行に合わせて、副作用の管理・生活支援・緩和医療にも力を入れ、患者さまが安心して継続的に治療に取り組める環境を整えています。
3. 診療の特徴
- 国内外の最新エビデンスと診療ガイドラインに基づく標準治療を実践しています。
- ゲノム解析を用いた 個別化医療(プレシジョン・メディシン) により、精密かつ効果的な治療を行っています。
- CAR‑T療法をはじめとする先進的な免疫細胞療法を、長野県内で可能な唯一の施設として提供しています。
- 高齢者の方にも対応可能な二重特異性抗体などの新規治療薬の使用が可能です。
- 自家造血幹細胞移植、同種造血幹細胞移植、非破壊的前処置によるミニ移植などの移植治療を、患者さまの全身状態・病状・希望を十分に検討したうえで積極的に実施しています。
- 多診療科・多職種によるチーム医療を推進し、看護部・薬剤部・リハビリテーション部門・緩和ケアチーム・輸血部などのコメディカルスタッフと密に連携しながら、総合的かつ安全な医療を提供しています。
4. 高度な医療
- 信州大学初の遠隔診療を活用した医師主導治験を行い、地域に根ざした先進医療を提供しています。
- 希少疾患である赤芽球癆に対する新薬(シロリムス)の第III相治験を通じて、保険診療の枠を超えた治療選択肢を広げています。
- 骨髄不全症および骨髄性腫瘍を対象としたゲノム解析研究により、病気の原因解明や新たな治療標的の発見に貢献しています。
- 臨床現場と研究をつなぐ活動を通じて、未来の標準治療を切り拓く医療を推進しています。
当科では、「患者さまを最優先に考える」という姿勢を大切にしながら、安心と信頼の医療を提供しています。