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イタリアのインクルーシブ教育を視察しました

イタリアのインクルーシブ教育

この3月、フルインクルーシブの教育実践から学ぶため、イタリアの学校を視察しました。
現地では、授業や支援体制だけでなく、駅や施設の表示、建物の設備などにも、多様な人の存在を前提とした社会のあり方が表れており、学校教育とのつながりを感じました。

今回の視察では、ローマとボローニャで複数の学校を訪問し、授業づくりや教員の連携、子ども同士の関わり、校内環境などを見学しました。特に印象的だったのは、「すべての子どもの学ぶ権利を保障する」という考え方が、理念にとどまらず、通常の学級や学校生活の中で具体的に実現されていたことです。
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ローマで視察した Istituto Statale di Istruzione Specializzata per Sordi A. Magarotto では、専門教科の授業や生活の場を見学しました。授業では、実際に手を動かしながら学ぶ活動が重視されており、教師が子どもの様子に応じて柔軟に活動を組み替える姿が見られました。
また、コミュニケーション支援を行う教師が、単なる通訳にとどまらず、生徒の思いや学びそのものを支える存在として関わっていたことも印象に残りました。

さらに、芸術の授業で制作された映像作品や、休み時間の子ども同士の自然な関わりからは、共生の文化が学校全体に根付いていることが伝わってきました。
どの生徒が障害認定を受けているのか外からは分からないほど、子どもたちが自然に「同じ仲間」として過ごしている姿が見られたことも大きな学びでした。
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Istituto Comprensivo Octavia では、小学校と中学校の授業を参観しました。教師が一方的に教えるのではなく、子ども同士が考え合い、支え合いながら学ぶ授業づくりがなされていました。特に支援教師は、特定の子どもだけに固定的につくのではなく、学級全体の中で子ども同士のつながりや学び合いを支えるように関わっていました。こうした姿からは、担任と支援教師が目指す子どもの姿を共有し、協働して授業をつくっていることがうかがえました。
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また、イタリアの PEI(個別教育計画) は、学習目標や支援内容だけでなく、通常の学級や学校生活の中で本人の参加と学びをどのように実現するかを重視して構想されている点が印象的でした。個別の支援を考える際にも、学級全体の中での参加や学び合いをどうつくるかという視点の大切さをあらためて考えさせられました。

ボローニャで訪問した Istituto Comprensivo 13 Bologna では、通常の学級の中で、さまざまな子どもが共に学ぶ姿を見ることができました。
レゴを用いた協働的な学習では、異年齢の子ども同士がチームを組み、互いに関わりながら学びを進めていました。支援教師の関わりも自然で、個別の支援を行いながら、それを仲間との共同の学びにつなげていた点が印象的でした。
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今回の視察を通して、イタリアの実践をそのまま取り入れるのではなく、その根底にある考え方や教育観を、長野3校の実践に引き寄せながら具体化していくことの重要性を再確認しました。障害のある子どもとない子どもが共に学ぶ意義や、互恵的に学び合うための条件について、これまでの実践をさらに深めていくための大きな示唆を得ることができました。

イタリアのインクルーシブ教育

今後は、今回の視察で得た学びを、長野3校における実践や研究に丁寧につなげていきたいと考えています。
後日報告会を実施しますので、ご興味のある方はぜひご参加くださいませ。

本研究や本HPの記載内容にかかわるご意見やご質問等がありましたら、
下記まで気軽にお問い合わせください

信州大学教育学部附属特別支援学校内 担当:戸谷