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附属長野三校合同職員研修

 4月1日(水)、今年度より附属長野三校(附属長小学校、附属長野中学校、附属特別支援学校)へ異動してきたり、採用されたりした先生方をお迎えし、三校の全ての職員が集う合同職員会が附属特別支援学校体育館で行われました。そして、それに引き続き、今年度いよいよ最終年を向える「本事業(インクルーシブな学校運営モデル事業)」を新しい先生方にも今までいらっしゃった先生方にも知ってもらうために三校職員で合同研修会を行わせて頂きました。

 まず初めに、カリキュラムマネージャーの戸谷先生から、この事業のねらいや概要についてご説明いただきました。戸谷先生は、本事業の目的は附属長野学校園の三校が一体となり、障害のある子とない子が共に学ぶ状況の実現を目指し、校内外の共同学習や柔軟な教育課程・指導体制をモデル化することにあると説明されました。
そして、昨年度の取り組みとして三校で共有されたビジョンである「現在や未来にこの附属長野学校園に在籍する子どもたちが『共にある豊かな未来を切り開く子ども』に育つこと」を目指して今年度も一層取り組みを充実させていこうと訴えました。また、今年度の重点は、「交流の枠を特定の教科・特定の学級から日常へ拡張し、今年度より新たに取り組む「交流籍」による交流活動を起点に、授業・学級・学校づくりの変革へつなげること」であると説明しました。

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 次に、信州大学の楠見准教授より、イタリア視察の報告や本取り組みの根底にある教育の理念についてご講演頂きました。

 イタリアの学校では、特別支援学校を廃止し、全員が通常の学級で学ぶ体制の中で、子ども同士の相互支援を基軸に学びを成立させているということ、またそのような体制の中で教員はファシリテーターとして全体を俯瞰し、必要に応じて介入している様子が伺えたというお話でした。また、イタリアでは、「不登校」という概念が無いほど、学校が「楽しい場」として機能しているというお話もお聞きし、日本の様子との違いに研修会に参加した職員は驚きを隠せませんでした。そして、教育の目的は、子どものウェルビーイング(学校そのものが楽しく幸福につながる場であること)の実現と民主的社会の実現(多様な子どもが参加・意思表明・変更可能な授業/学校)であることであり、その片方のみを重視するのではなく、両者が照らす「真ん中の道」を目指すことにあるとご教示いただきました。さらに、UNESCO 2021報告書に示された通り、気候危機、紛争・貧困、技術発展に伴う格差拡大等に教育は応答し、社会的・経済的・環境的正義に根差す未来づくりに資するべきであり、ユネスコは、新技術の人材育成より、格差是正の視点を重視しているということも教えて頂きました。

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 さらに、現在の日本を取り巻く教育課題として、少子化が進む一方で特別支援学校・特別支援学級の在籍が増加しており(特に知的障害)、その結果、教室不足・教員不足が深刻化しており、中には管理職が授業代替等を行うという自体が発生しているという状況にあるということ。加えて、不登校率も上昇していて、特に長野県は小学校で全国上位との情報もあるということ。また、小中高校生の自殺率のみ増加傾向にあるということ。このような課題の背景には、「平均」に合わせた授業が排除のスパイラルを招き、見かけ上の学力向上に依存する教育が抱える問題が根底にあるということをご示唆頂きました。

 そして、そのような教育課題を解消するためにも、「全員が同じ場で共同して学ぶ」学級づくりと、その継続に資する授業改善が肝要であり、それは本事業への取り組みが目指すところであるという力強いお言葉を頂きました。

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 最後にカリキュラムマネージャーの関先生から、ご自身の教諭としての経験の中で、交流籍の実施にあたっては、単なる手続き的な開始ではなく、子どもたちが安心して交流できる環境づくりが重要であること。事前の準備として、特支の子のことをよく知ることや通常の学級の児童。生徒が交流相手を理解することなど、丁寧な出会いの仕掛けが必要とされているとお話しして頂きました。さらに、交流の担い手である教師自身がまず相互に出会い、関係を築くことが重要であり、その上で、子どもたちが日常的に共に過ごす中で、かけがえのない関係が生まれてくるということをご示唆頂きました。

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 年度初めの慌ただしい日程の中ではありましたが、三校の職員全員が集まって、目指すところを共有し最終年の取り組みに向け学びを深めたり、士気を高めたりする貴重な時間になりました。

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信州大学教育学部附属特別支援学校内 担当:戸谷