群馬県教育委員会・伊勢崎特別支援学校の先生方による視察 ×
「音楽」の交流及び共同学習の授業
1月30日(金)、群馬県教育委員会特別支援教育課の池田様、根岸様、伊勢崎特別支援学校の多胡様、土橋様をお迎えし、附属長野小学校・長野中学校・附属特別支援学校の三校が連携して進めている取組について、ご視察いただきました。
当日は、長野三校の日常の様子や授業の場面をご参観いただきました。学校間の距離感に加え、児童生徒や各先生方がどのように関わり合いながら教育活動を進めているのかについて、実際の姿を通してご覧いただきました。午後には、長野中学校3年C組と附属特別支援学校中学部による「音楽」の交流及び共同学習の授業が行われ、その様子についてもご参観いただきました。
音楽の授業では、周囲とテンポを合わせて調和を学び、身近な物で音楽を創り出す楽しさを味わってほしいという願いから、「カップス」に取り組みました。活動の始まりは、中学部の生徒による演奏鑑賞です。その見事なリズムに、3Cの生徒からは「すごい!」「やってみたい」と歓声が上がり、中には中学部の演奏に合わせて、エアーでコップを動かしリズムを取る生徒もいました。早速グループに分かれ、『ライラック』などの演奏に挑戦。最初は手元の動画に集中していた生徒たちも、コップを隣の友達と交差させたり、「乾杯!」と合わせたりする場面では、自然と笑顔で視線を交わし合うようになりました。最後に行われた全体共有では、テンポや動きだけでなく、互いの心も通じ合うようなアンサンブルが実現しました。演奏する友達に合わせて自然に体が動いたり、温かな拍手が送られたりと、リズミカルで活気あふれる、とても充実した時間となりました。※「カップス」は音楽に合わせて、コップを使ってリズムを刻む活動です。
群馬県の皆様からは、「教師が一方的に関わるのではなく、生徒同士が相手の様子を感じ取りながら自然と活動を進めていく姿が印象的であった」「交流及び共同学習が特別な活動として切り出されるのではなく、日常の取り組みやこれまで築いてきた関係性の延長として位置づいているからこそ生まれた姿であると感じる」といった貴重なご感想をいただきました。
視察後の意見交換では、「年間指導計画への位置づけ」や、「教育課程や学年が異なる集団において、いつ・何を・どのように実施すべきかという『判断の基準』」といった具体的な進め方が話題になりました。特に、構想段階での意思決定や実施に至るまでの調整など、本取り組みの「核」となる部分に関心が集まりました。教育課程や学校運営全体を見据えて取り組む重要性について、現場ならではの切実な課題意識を共有することができました。これらの問いに対し、長野三校では、交流そのものを目的化せず、その時期の子供たちの興味・関心や願い、関係性を起点に活動を構想していることを説明しました。また、カリキュラムマネージャーが仲介役となり、両校の教師が子供の実態や教科の特性を丁寧にすり合わせながら、学習活動や学習内容、それぞれの役割を柔軟に調整しているプロセスについても紹介しました。質問にお答えする過程で、取り組みの背景にある考え方や判断の軸を改めて「言語化」することができ、私たちが何を大切にして実践を積み重ねてきたのかを、改めて再確認する貴重な機会となりました。
三校参観を通しては、「どの学校・学級もひらかれた雰囲気があり、こうした雰囲気が多様性を包摂する基盤になっていると感じた」との感想が寄せられました。長野小学校については、「多様な子どもが自然に受け入れられており、そのための工夫や子ども同士の関係づくりが日常的に行われている点が印象的であった」との声が聞かれました。長野中学校については、「生徒が集中して自ら学びに向かう姿が見られ、教師が前面に立って活動を統制するのではなく、生徒同士で考え合いながら学習が進められている様子が印象的であった」との感想がありました。特別支援学校については、「子どもと教師の関係性のあたたかさ」「児童生徒の興味・関心に沿った生活づくりがなされている点が参考になった」といった意見が寄せられました。これらの感想を通して、学校種の違いを無くすことを目指すのではなく、それぞれの学校がもつ役割や強みを尊重し、それらを生かし合いながら連携していくことが、インクルーシブな学校運営において重要であるという認識が共有されました。また、本事業が特別支援教育に閉じた取組ではなく、通常の学級や通常教育の在り方そのものを問い直し、すべての子どもにとって学びやすい学校づくりにつながる取組であるという点についても、共通認識が形成されました。
今回の得られた問いや気づきを、今後の研究と実践に生かしながら、長野三校では協働を進め、学校運営全体の質を高めるインクルーシブな学校運営の在り方を、引き続き探究していきます。






