プロジェクト概要

プロジェクト名称

イノベーション政策に資する公共財としての水資源保全とエネルギー利用に関する研究

研究実施期間

2012年10月1日から2015年9月30日まで

プロジェクトの目的

研究の目的は「地域の総合的水利マネジメント技法による政策の提案と地域計画への実装」にあります。水資源の保全とエネルギー源としての利活用、さらに水利マネジメントや新しい制度化などの社会システムの形成を目指しています。

研究の背景と概要

信州大学ではこれまで、水資源の豊富な長野県の環境を活かし、工学部を中心にナノ水力発電システムの開発と設置、地下水を利用した次世代ヒートポンプ空調システムの開発・実験などが行われてきました。しかし、これらの新技術を広く社会に導入するためには、河川等の地表水では水利権の壁が存在します。地下水ではそもそもルール自体が存在しないことから、導入のための基準づくりや制度の整備が必要です。さらに、より広い視点では、水資源の乱用や独占を防ぐために、水を利活用する地域の人々の意識づくり・ルールづくり等、総合的・包括的な「水法」の整備や社会的合意形成が求められています。これらを踏まえ、本プロジェクトでは水を「公共財」と認識し、以下の3項目の研究を進めます。

3項目の重点研究

  1. 水の循環についての自然科学的知見を基盤にして、水の保全と高度利用を進めるための政策および制度形成を検討する。
  2. 水利用技術を導入・実装する際の社会的手続きと導入方法を事例に則して検討し、その手法に沿って実装を進める。
  3. 実際の導入を進める中で、自治体や地域社会との対話や利害調整と合意形成を進め、その過程で得られた知識等を社会技術として体系化する。

プロジェクトの特徴

研究を進める体制として、社会科学研究グループ(人文学部・経済学部主体)、自然科学研究グループ(工学部主体)、マネジメントグループ(地域共同研究センター・産学官連携推進本部主体)の3つのグループが、まさに「文理融合型」で有機的に結ばれ推進しています。

研究成果の活用

研究は基礎的課題の把握から始まりますが、調査や社会実装にあたっては、長野県内の複数市町村と協力して進めています。その後、モデルケースにおける技術導入や社会法制度の実践的検討の段階を経て、「水資源活用の信州発モデル」として全国に提案していくことを目指しています。

イメージ図

信州型「水」マネジメントモデルを創出し、全国に発信することを目指しています。