研究(オプトアウト)

研究一覧

2024年04月12日
LC-MS/MS法による血中及び尿中ビタミンD代謝物濃度の関連性評価 (2024.4.12-2027.3.31)
2024年03月28日
神経膠腫の診断に必要となる遺伝子検査の有用性検討 (2024.3.18-2028.12.31)
2024年03月28日
フローサイトメーターを使用した白血球解析におけるSSC-CD45サイトグラムについて顆粒球、単球、リンパ球の分布位置の変動原因 (2021.5.6-2026.3.31)
2023年12月28日
LC-MS/MS 法によるメラニン中間代謝物およびビタミン D 代謝物測定の臨床的有用性評価(2023.12.21-2027.3.31)
2023年11月01日
造血器腫瘍における高感度遺伝子検査の有用性検討(2023.10.18-2028.10.17)
2023年10月02日
マルチカラー解析を用いたフローサイトメトリーの有用性の検討(2023.10.1-2024.3.31)
2023年10月02日
大動脈弁狭窄症の重症度と心電図変化(2023.9.27-2024.3.31)
2023年08月03日
カルバペネム耐性アシネトバクター属菌が保有する薬剤耐性遺伝子の解析(2023.5.29-2026.3.31)
2023年07月06日
バンコマイシン耐性腸球菌が保有する薬剤耐性遺伝子の解析(2023.6.14-2026.3.31)
2023年07月06日
薬剤耐性検査所見が矛盾する黄色ブドウ球菌の精査解析(2023.6.14-2026.3.31)
» 続きを読む

研究紹介

遺伝子検査室

image

<遺伝子関連検査をもっと身近に~ideas for molecular diagnosis~>

遺伝子解析技術の発展により、日々新たな解析法・解析機器が誕生しています。これら新規遺伝子解析技術は、より精緻な診断を可能とし、分子標的療法などの新規治療法と合わせてさらなる治療成績の向上が期待されます。しかし、そういった技術の中で臨床検査として実際の検査室で実施されるものはごくわずかです。新規解析技術が臨床検査として応用が進まない理由には、結果に偽陽性・偽陰性がどれ程含まれるかといった臨床検査法としての性能検証が十分ではないこと、従来法などに比して高コストであることなどが挙げられます。一方、腫瘍の病理診断においては、病型特異的な遺伝子異常プロファイルが明らかになり病型の細分化が進んでいますが、臨床検査として解析できない遺伝子異常の同定を必要とする病型の診断は困難なのが実情となっています。
当研究グループでは、病理診断や臨床に活かせる遺伝子関連検査の研究開発を行ない、精密医療(Precision Medicine)への貢献を目指しています。

・フラグメント解析によるCALR遺伝子変異検出の性能評価と変異アリル頻度測定に関する検討. 根岸 達哉ら. 医学検査 72(2) 182-190 2023年4月25日
・Rapid diagnosis of acute promyelocytic leukemia with the PML-RARA fusion gene using a combination of droplet-reverse transcription-polymerase chain reaction and instant-quality fluorescence in situ hybridization. Shigeto S et al. CLINICA CHIMICA ACTA. 2016 Jan; 453:38-41.

微生物検査室

image2

<Small-colony variants>
Small-colony variants(SCVs)は、小型で非典型的なコロニー形態を示す変異株の総称です。これらは、野生型株に比べ、持続性、再発性の感染症を引き起こすことが報告されています。また、非典型的なコロニー形態や発育条件、遅い発育速度、低い生化学的活性などが影響し、標準法に基づく同定検査や薬剤感受性検査が困難なことが多くあり、臨床検査においてもしばしば問題になります。私たちは、これらSCVsのメカニズム解明と検査法の確立を目指して研究を行っています。
1. Horiuchi K, Matsumoto T, Ota Y, et al. Addition of thymidine to culture media for accurate examination of thymidine-dependent small-colony variants of methicillin-resistant Staphylococcus aureus: a pilot study. J Microbiol Methods. Mar 2015;110:40-4. doi:10.1016/j.mimet.2015.01.007
2. Negishi T, Matsumoto T, Horiuchi K, et al. Characterization of clinically isolated thymidine-dependent small-colony variants of Escherichia coli producing extended-spectrum β-lactamase. J Med Microbiol. Jan 2018;67(1):33-39. doi:10.1099/jmm.0.000634

 

<non-Helicobacter. pylori Helicobacter (NHPH)>
ヒトの胃に生息し、病原性を示す螺旋菌はHelicobacter pylori だけではないことが注目されています。それらは、gastric non-H. pylori Helicobacter (NHPH) と呼ばれ、H. pylori とは異なり、ペットや家畜などが自然宿主であることから、人獣共通感染症の側面を持っています。ヒトに対しては慢性胃炎や胃潰瘍、胃MALTリンパ腫の原因となる細菌です。本菌は人工培地での培養が難しい特徴があります。今後、本菌の特性の解析や検査法の開発を考えた場合、人工培地での培養法の確立が非常に重要と考え、チャレンジを重ねています。

輸血部

image3

<安全な輸血療法を目指して>

輸血は血液疾患等において重要な支持療法ですが、副反応のリスクを伴います。中でもアレルギー性輸血副反応(ATR)は発症頻度が高く、多くは蕁麻疹などの症状ですが、まれに生命を脅かすようなアナフィラキシーショックを発症することもあります。
私たちの研究グループでは、ATRの発症には①血液製剤由来と②患者由来の両方に原因があると推測しています。①は献血者から採血された血液中にアレルギー性物質(花粉など)が含まれていることにより発症する可能性、②は患者自身のアレルギー遺伝素因が関与することにより発症する可能性を考えています。両サイドからATRの原因を解明することで、より安全な輸血療法の提供を目指しています。

1) Usami Y, Yanagisawa R, et al : Basophil activation test for allergic and febrile non-haemolytic transfusion reactions among paediatric patients with haematological or oncological disease. Vox Sang. 118(1):41-48, 2023
2) Ide Y, Yanagisawa R, et al : Relationship between allergic sensitisation-associated single-nucleotide polymorphisms and allergic transfusion reactions and febrile non-haemolytic transfusion reactions in paediatric cases. Blood Transfus. 20(2):94-102, 2022

病理検査室

image4

癌幹細胞や癌微小環境に関する研究>

私たちは消化器癌を中心に、癌幹細胞や癌微小環境に関する研究を実施しています。病理学的解析にはじまり、免疫組織化学やRNA in situ hybridization等を駆使した解析を実施しています。また近年はトランスクリプトームデータを用いたin silico解析によるターゲット探索、DNAメチル化解析、さらには空間トランスクリプトーム技術に至るまで、多種多様な手法を用いて研究を展開しています。私たちは病理医、臨床医、臨床検査技師がチームを組み、それぞれ異なる専門性を活かし総合的な研究アプローチを実践しています。
 消化器癌における癌幹細胞マーカーの発現解析
 消化器癌における癌微小環境の腫瘍免疫状態の予測やサイトカインの発現解析
 Colitic cancerに関する病理学的解析、分子生物学的解析


IgG4関連疾患に関する研究

<IgG4関連疾患とは>

IgG4関連疾患は、全身のさまざまな器官に炎症を引き起こす原因不明の慢性炎症性疾患です。我々は血清中IgG4測定試薬(汎用自動分析装置)の開発や病理学的解析を実施しています。また、IgG4関連疾患の発症メカニズムを解明するため、分子病理学的アプローチを用いた研究を展開しています。特に、疾患関連遺伝子の同定や遺伝子発現の変化に着目し、病態形成における分子レベルでの変化を追求しています。さらに、遺伝子多型(SNP)解析やDNAメチル化解析を通じて、IgG4関連疾患の遺伝的素因やエピジェネティックな調節機構の解明を目指しています。