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トピックス詳細

食物アレルギーと輸血によるアレルギーとの関連性を調査

2024.02.26

 信州大学医学部附属病院輸血部 柳沢 龍 准教授、長野県立こども病院生命科学研究センター 戸塚 実 研究員、長野県立こども病院小児アレルギーセンター 伊藤 靖典 センター長(生命科学研究センター研究員)らの研究グループは、卵、牛乳、小麦アレルギーと診断されている小児の好塩基球(アレルギー反応に関与する白血球成分の一つ)が、該当する食品を摂取した別の人の血液によって活性化する現象を見出しました。この結果は、食物アレルギーのある人に輸血を行なおうとした際、採血前にドナーが摂取した食品が原因となりアレルギーが引き起こされる可能性があることを示しています。また、本研究では好塩基球の活性化が起こりやすい人の特徴も一緒に調べられており、輸血によってアレルギーを起こしやすい人を事前に予測できる可能性も示されています。
 輸血は多くの医療現場で必要とされる重要な支持療法の一つですが、様々な副反応の発生が問題となっています。その中でも輸血によるアレルギーは最も高頻度に発生している副反応であり、重篤な場合は生命に関わる可能性もあります。しかし、これまでのところ、輸血によるアレルギーに関してはほとんどが不明なままでした。本研究結果を通じて輸血によるアレルギーの解明が今後さらにすすみ、将来の輸血療法がより安全に行われるようになることが期待できます。

 本研究は信州大学医学部附属病院と長野県立こども病院アレルギー科および同病院生命科学研究センターとの共同研究として実施され、研究内容の詳細はWiley社の学術誌Allergyに2024年1月11日付でオンライン掲載されました。

〈研究成果のポイント〉

  • ● 食物アレルギーの人に輸血が行われる際、採血前にドナーが摂取した食品が原因となってアレルギーが引き起こされる可能性があることが見出されました。

  • ● これまで明らかにされてこなかった輸血によるアレルギーの解明が今後さらに進み、将来、より安全な輸血療法が確立されることが期待できます。

詳細:
プレスリリース(PDF 831KB)
EurekAlert!

論文情報:
〈タイトル〉Activation of basophils in children with food allergies by blood from donors ingesting the corresponding food

〈著者〉Ryu Yanagisawa, Yumi Koike, Yoko Usami, Ayako Kanai, Mai Tokunaga, Minoru Tozuka, Yasunori Ito

〈掲載誌〉Allergy

〈DOI〉10.1111/all.16013.


長野県立こども病院 生命科学研究センター https://nagano-child.jp/department/lifescience_center
長野県立こども病院 小児アレルギーセンター https://nagano-child.jp/department/allergy_center