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トピックス詳細

コロナ禍の衛生意識変容は術後創部感染に影響を与えるか?~手術部位感染発生率に及ぼす影響を解明~

2023.08.22

 一般的に、術後創部感染(SSI)や、薬剤耐性菌によるSSIの予防として手指衛生を始めとする院内の衛生が推奨されていますが、その効果は明らかにはわかっていませんでした。そのため信州大学医学部運動機能学教室 三村哲彦 医員らの研究グループは、昨今のCOVID-19パンデミックによって社会全体や病院の衛生意識が向上し、SSIが減ったのではないかという仮説を立てて研究を行いました。国内の院内感染対策サーベイランスデータから、COVID-19パンデミックによる整形外科領域のSSIの発生率に対する影響を、分割時系列解析を用いて検討したところ、COVID-19パンデミックによる影響はほぼなかったことがわかりました。この研究は、今後のSSI対策を検討する上で重要な視点を提供すると思われます。
 本研究成果は、2023年6月9日付、Journal of Hospital Infectionに掲載されました。

【研究成果のポイント】
●COVID-19パンデミックによる衛生意識変容は整形外科領域の術後創部感染の発生頻度に対して影響がないことを明らかにしました。(国内)
●整形外科領域の術後創部感染の発生率はCOVID-19パンデミックによらず減少傾向でした。(国内)
●本研究成果は、術後創部感染に対する予防法を検討していく上で重要な知見になると考えられます。

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図. 時系列によるSSIの実際の発生率(マーク)および予測される発生率(曲線) 夏をピークとする季節性の変動があり、徐々にSSIが減少しています。
日本における1回目の緊急事態宣言発出以降をCOVID-19パンデミックと定義し、
その前後での予測される発生率を比較していますが、大きな変化は認められません。

【詳細】プレスリリース(PDF 228KB)

【論文情報】
<掲載誌>Journal of Hospital Infection

<タイトル>Impact of the COVID-19 pandemic on the incidence of surgical site infection after orthopaedic surgery: an interrupted time series analysis of the nationwide surveillance database in Japan

<著者>T Mimura, G Matsumoto, T Natori, S Ikegami, M Uehara, H Oba, T Hatakenaka, T Kamanaka, Y Miyaoka, D Kurogochi, T Fukuzawa, M Koseki, S Kanai, J Takahashi

<DOI>10.1016/j.jhin.2023.06.001