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分子薬理学教室の柏原俊英助教が、日本生理学会の入澤宏・彩記念若手研究奨励賞を受賞しました

2018.04.12

 平成30年3月28-30日に高松で開催された第95回日本生理学会大会において、分子薬理学教室の柏原俊英助教が、日本生理学会の入澤宏・彩記念若手研究奨励賞を受賞しました。入澤宏先生(大正11年11月18日-平成3年11月19日)は、広島大学教授、東京女子医科大学教授、岡崎国立共同研究機構生理学研究所生体調節研究系研究主幹・高次神経調節研究部門教授を歴任されました。その研究は、比較生理学、細胞生理学、人体生理学の多岐にわたるものでしたが、中でも特に電気生理学的手法を用いて心臓自動能の発生機構を精力的に研究されました。その過程で、多くの優秀な生理学者を育成され、日本の生理学の発展に大きく貢献されました。入澤宏・彩記念若手研究奨励賞は、この入澤宏先生と奥様の遺志により、平成22年に創設された賞で、心臓・循環およびイオンチャネル・トランスポーターに関連する領域で独創的・萌芽的な基礎研究を行っている若手研究者を奨励することを目的としています。
 柏原俊英助教は、あらゆる循環器疾患の原因となっているアンジオテンシンIIが、周産期の幼若動物の心臓では、AT1アンジオテンシン受容体・βアレスチン2・カゼインキナーゼ2を介して、心筋細胞の興奮収縮連関の要であるCaV1.2 L型Ca2+チャネルを著明に活性化し、心収縮力を増強させることを世界で初めて見出しました(Kashihara, T., et al. (2017) J. Physiol. (Lond.) 595: 4207-4225)。この反応は、成体の動物では認められませんでした。このことは、動物の周産期の循環調節にとってアンジオテンシンIIが重要な役割を担っていることを示唆しています。また、AT1アンジオテンシン受容体からβアレスチン2を選択的に活性化するバイアスアゴニストが、小児心不全の治療薬になりうる可能性も示唆しています。日本生理学会は、この発見の重要さを評価し、柏原俊英助教に入澤宏・彩記念若手研究奨励賞を授与しました。

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