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基礎系 : 医学系専攻(博士課程)

分子細胞生化学 

分子細胞生化学

分子細胞生化学


スタッフ・学生

教授 鎌田徹、准教授 安達喜文、助教 古田秀一、助教 加藤真良、
秘書 牛山冨貴子
修士課程 4名、博士課程 3名

講座の概要

当部門は、鎌田教授が着任した1999年に発足し、基礎医学、特に癌研究における新興の研究課題に臨床系講座と協力して取り組み、将来の治療・診断への応 用に向かって精力的に研究を行っています。創造的な仕事に価値を見出したいという学生諸君であれば、その経歴の如何に問わず、門戸が開かれています。

現代の疾病の中で、癌は最も高い死亡率をもち、医生物学の最も重要な問題です。癌の治療法・診断を確立するには、発癌を調節している分子と癌化のシグナル 伝達を同定・解明する必要があります。当研究室では、発癌遺伝子や癌抑制遺伝子、浸潤・転移関連因子(腫瘍血管内皮細胞増殖因子、マトリックスメタロプロ テアーゼ)、膜受容体、プロテンキナーゼ、RhoファミリーG-蛋白、転写因子に焦点をあてて、上記の問題にとりくみ、多くの実績をあげてきました。研究 手法は、分子生物学的、生化学的、細胞生物学手法、及びマウス実験を総動員して行っています。

今まで大学院生として当研究室で博士論文を出版した医学部出身者としては、満下淳地(信大・産婦人科、Cancer Res., 2004)、商維昊(中国医科大、J. Biol. Chem., 2004)、望月太郎(信大・第二内科、 Oncogene, 2006)、小松大介(信大・第二外科、Oncogene, 2008)、陳薇(中国医科大、Biochem. J., 2008)、山浦麻貴(信大・皮膚科、Cancer Res., 2009)がおります。在籍した院生は、臨床系、他学部、留学生と多彩で、2004年卒の満下淳地君(信大・産婦人科出身)はコロラド大学へ留学し、 2007、8年卒の商君、陳さんは国立遺伝学研究所(三島市)へ就職しました。

研究テーマ

最近のテーマは、NADPHoxidase(Nox)ファミリー遺伝子の癌化における機能的役割の解 明である。Noxは、NADPHを基質として、活性酸素(スーパーオキサイド:O2-)を産生する膜酵素(図1)で、貧食細胞に存在して、病原菌を殺し、 生体防御の役目をもつ。ところが新しいファミリー遺伝子が、1999年以来発見され、自然免疫以外の生命現象における役割が示唆され、それを解明すること が、重要な問題となっている。一方、活性酸素の過剰産生は発癌のrisk factorとして知られてきた。私たちは、 Nox1がRas発癌遺伝子で癌化した細胞の癌形質、造腫瘍能を媒介することを発見し、Ras癌化過程には、Nox1の産生する活性酸素が必須であるとい う新モデルを提唱した(Cancer Res. 2004、ハイライト: 図2)。また、ヒト膵臓癌でもNox4が、抗アポプトシス作用をもち、癌細胞の生存に寄与するという重要な発見を行った(Oncogene, 2006)。さらに、Nox1が PTPホスファターゼ/Rho蛋白を介した癌細胞の形態・運動・接着(J. Biol. Chem, 2007)や腫瘍血管新生因子(VEGF) (Oncogene, 2008)とマトリックスメタロプロテアーゼ産生(投稿中)を調節することを見出した。GATA-6がNox1遺伝子の転写因子であることも解明した (Oncogene, 2008)。また、Nox4が細胞周期(G2→M)の調節を介してメラノーマの増殖に寄与するという新事実を得た(Cancer Res. 2009)。今後、炎症性大腸癌(Toll-like receptor、Wntシグナリング、TNFα)、T-cell白血病、腫瘍抑制(セネセンス)、癌の上皮–間葉系遷移(EMT)機構におけるNox ファミリーの機能的役割も解明したい。今後このシグナル伝達機構を詳細に検討することにより、診断・治療への応用が開かれるものと期待される。

最近の成果

  • 01.Yamaura M., Mitsushita J., Furuta S., Kiniwa Y., Ashida A., Goto Y., Shang WH., Kubodera M., Kato M., Saida T. and Kamata T. NADPH oxidase (Nox)4 contributes to transformation phenotype of melanoma cells by regulating G2-M cell cycle progression. Cancer Res., 2009. in press.
  • 02.Wei, Chen., Shang, W.H., Adachi, Y., Hirose, K., David M, Ferrari., and Kamata, T. A possible biochemical link between NADPH oxidase (Nox)1 redox-signaling and ERp72. Biochemical J. 416: 55-63, 2008.
  • 03.Adachi Y., Shibai, Y., Mitsushita, J., Shang, WH., Chen, W., and Kamata, T. Oncogenic Ras upregulates NADPHoxidase (Nox)1 gene expression through MEK-ERK-dependent phosphorylation of GATA-6. Oncogene. 27: 4921-4932, 2008.
  • 04.Komatsu, D., Kato, M., Nakayama, J., Miyagawa, S., and Kamata, T. Nox1 plays a critical mediating role in oncogenic Ras-induced vascular endothelial growth factor expression. Oncogene. 27: 4724-4732, 2008.
  • 05.Shinohara, M., Shang, W.H., Kubodera, M., Harada, S., Mitsushita, J., Katoh, M., Miyazaki, H., Sumimoto, H. and Kamata, T. Nox1 redox-signaling mediates oncogenic Ras-induced disruption of stress fibers and focal adhesions by down-regulating Rho. J. Biol. Chem. 282: 17640-17648. 2007.
  • 06.Mochizuki, T., Furuta, S., Mitsushita, J., Shang, W.H., Yamaura, M., Ishizone, S., Nakayama, J., Konagai, A., Hirose, K., kiyosawa, K., and Kamata, T. Inhibition of NADPHoxidase 4 activates apoptosis via the AKT/apoptosis signal-regulating kinase 1 pathway in pancreatic cancer PANC-1 cells. Oncogene.25:3699-3707, 2006.
  • 07.Mitsushita, J., Lambeth,D., and Kamata, T. The superoxide-generating oxidase Nox1 is functionally required for Ras oncogene transformation. Cancer Res. 64: 3580-3585, 2004.
  • 08.Shang, W.H., Adachi, Y., Nakamura, A., Copeland, T., Kim, SP., and Kamata, T. Regulation of Amphiphysin1 by Mitogen-activated protein kinase. J. Biol.Chem. 279: 40890-40896, 2004.
  • 09.Furuta, S., Hidaka, E., Ogata, A., Yokota, S., and Kamata, T. Ras is involved in the negative control of autophagy through the classI P13-kinase. Oncogene 23: 3898-3904, 2004.

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