信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF スピード・スケート選手の等速性筋出力と競技成績との関係

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.5 Vol.5

 緒言

 スピード・スケート滑走は,主働筋となる脚筋群の収縮によって発揮された出力がスケートのブレードを介して氷面に伝達され,その反作用の結果として身体重心が移動することによってもたらされる.したがって,スピード・スケートの競技成績を向上させるためには,スケーティングの一動作における筋出力が高いことはもちろん,高い出力を競技の最後まで持続する能力が要求されることは,容易に想像できる.さらに,スピード・スケート競技の本質が運動スピードを競うものであることを考えれば,静的筋出力ではなく,動きのなかで出力を発揮する動的筋出力の大きさが問題とされなければならないこともわかる.また,最近の研究によれば,筋出力トレーニングの効果には特異性(specificity)が存在し,トレーニングにおける動作様式,運動速度,収縮様式および収縮力によって筋の適応の仕方が異なってくるという(SaleとMacDougall,1981)7).したがって,競技成績の改善をねらいとした筋出力トレーニングでは,この特異性を考慮したものでなければならないことになる.
 そこで,本研究では,スピード・スケート競技の主働筋となる大腿四頭筋の動的筋出力,特に等速性筋出力と競技成績との相互関係を明らかにすることによって,スピード・スケートの競技力向上に資する筋出力トレーニングの至適運動速度についての基礎資料を得ることを目的とする.

「デサントスポーツ科学」第5巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 根本勇*1, 入沢孝一*2, 吉岡伸彦*3, 金久博昭*3, 宮下充正*3
大学・機関名 *1 東邦大学, *2 嬬恋高校, *3 東京大学

キーワード

スピード・スケート等速性筋出力持続能力