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PDF 老人の平衡機能の適応能の評価

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.13 Vol.13

 本研究の目的は,老人の平衡機能の適応能について検討することにある.被験者は,18〜21歳の大学生39名と62〜78歳の老人48名からなる.振動台に固定した床反力計上で閉眼にて立位姿勢を保持し,振動台を振幅2.5cm,周波数0.5Hzで正弦波状に振動した.1回の試行時間を1分間とし,座位による1分間の休憩を挟んで5試行を課した.平衡機能は,足圧中心動揺の平均速度によって評価した.その値は身長補正を施した.そして,次のような知見を得た.
 1)老人の平衡機能は,いずれの試行回においても,若年者よりも有意に劣っていた.
 2)試行を繰り返すことによって,若年者はいずれも平衡機能が向上したのに対して,老人においては平衡機能の向上が認められない者が約15%おり,老人の平衡機能の適応能は若年者よりも劣っていた.ただし,老人の中には若年者と同様に向上する者も若干認められた.
 3)若年者においては,いずれの試行回でも有意な平衡機能の性差が認められなかった.老人においては,第3試行までは女子よりも男子の平衡機能の方が有意に優れているが,その後の試行回では有意な性差は認められなかった.このことなどから,平衡機能の適応性については,有意な性差はないものと考えられた.

「デサントスポーツ科学」第13巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 藤原勝夫*1, 外山寛*1, 浅井仁*1, 宮口明義*2, 山科忠彦*3, 出村慎一*4
大学・機関名 *1 金沢大学, *2 金沢経済大字, *3 金沢医科大学, *4 金沢大学

キーワード

老人平衡機能適応能