信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 高校スポーツ“選手”などの立ちくらみ防止に関する研究

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.13 Vol.13

 なお前述の椎間軟骨の障害(圧平などで両側にはみ出て動静脈を圧迫する),あるいは椎骨骨棘などで椎骨動静脈がその部分で変形し,動脈撮影などによると脈管が細くなっており,また外壁よりの刺激で内膜が肥厚し,管腔も細くなっていることがみられるのである.これらの原因の外にきびしい練習や,前夜の夜ふかしなどによっても頸部の疲労性炎症が加わっておれば,頸部支持組織の緊張度はいっそう崩れやすく,不安定性による各椎骨問関節の過度の屈曲もいっそう起こりやすく考えられる.
 そもそもこれらの集団セレモニーなどにおける“立ちくらみ”問題について,兵庫県の衛生部保健課は「最近の学生,生徒の体力低下その他に原因あらん―」との見解を述べている.しかし著者の約30年の学校校医(小・中学校)としての検診や身体検査等を通じての経験や観察所見からは,運動場体育館(雨天も可)および運動器具やスポーツウェァの整備などによってむしろ訓練は往事よりもきびしく時間的にも多く,その記録などはずっと進歩しており体力等は計測的あるいは記録的には向上していると思われる.しかしその一方整形外科的にみて青少年の頸椎の不安定性,野球肘(テニス肘,剣道肘も)野球肩,腰椎の分離症,椎間板症,膝関節内障,脛骨粗面のオスグートシュラッテル氏病,踵骨骨端炎等の症例は著しく多いところからも現在の方がむしろ訓練(練習)がきびしく体力過使用などによる障害が多いと思っている.

「デサントスポーツ科学」第13巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 八家正俊, 八家伸方, 今津和也
大学・機関名 医療法人ひまわり会 八家病院

キーワード

立ちくらみむちうち損傷頸椎