靴の形状が姿勢・歩容・関節負荷に及ぼす動態力学的影響
【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.34 Vol.34】
要旨
近年,多くの女性が社会進出することに伴い,毎日の通勤でもハイヒールを履用する女性が多くなり,ファッション性偏重の靴を履くことにより,足,膝,腰の疾患の原因となることも多いといわれている.本研究では,身近な履物として,スニーカー,パンプス(ヒール高:3cm),高齢者用シューズ,トーニングシューズの4種について,その形状やヒールの有無が,下肢の関節に及ぼす負荷量や,関節角度について分析し,靴の形状が身体に及ぼす影響を動態力学的に検討した.健康な若年女性8名を対象として,三次元動作解析装置,床反力計,筋骨格モデリングソフトウェアに動作データを移行することにより,関節モーメントを計算した.歩行一周期における関節モーメントの変化をみると,踵部接地時に股関節の関節モーメントが増大し,特にパンプス履用時に高値を示した.また,蹴り出し時(推進期)に股関節,距腿関節の関節モーメントピーク値が増大し,高齢者用シューズで最も高かった.高齢者用シューズは,若年者が履いた場合でも接地時の衝撃を緩和し,前方への推進力を促すものと思われた.本研究の成果が,安全性・機能性の高い靴の設計や,安全な靴の履用方法の向上に貢献することを期待する.
「デサントスポーツ科学」第34巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
近年,多くの女性が社会進出することに伴い,毎日の通勤でもハイヒールを履用する女性が多くなり,ファッション性偏重の靴を履くことにより,足,膝,腰の疾患の原因となることも多いといわれている.本研究では,身近な履物として,スニーカー,パンプス(ヒール高:3cm),高齢者用シューズ,トーニングシューズの4種について,その形状やヒールの有無が,下肢の関節に及ぼす負荷量や,関節角度について分析し,靴の形状が身体に及ぼす影響を動態力学的に検討した.健康な若年女性8名を対象として,三次元動作解析装置,床反力計,筋骨格モデリングソフトウェアに動作データを移行することにより,関節モーメントを計算した.歩行一周期における関節モーメントの変化をみると,踵部接地時に股関節の関節モーメントが増大し,特にパンプス履用時に高値を示した.また,蹴り出し時(推進期)に股関節,距腿関節の関節モーメントピーク値が増大し,高齢者用シューズで最も高かった.高齢者用シューズは,若年者が履いた場合でも接地時の衝撃を緩和し,前方への推進力を促すものと思われた.本研究の成果が,安全性・機能性の高い靴の設計や,安全な靴の履用方法の向上に貢献することを期待する.
「デサントスポーツ科学」第34巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 | 永井伸夫,有泉知英子,田村照子 |
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大学・機関名 | 文化学園大学 |
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