前腕部の繰り返し冷却に伴うハンドグリップ運動時骨格筋酸素動態の適応
【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.34 Vol.34】
要旨
本研究は,前腕部を局所的に繰り返し冷却し,組織冷却下でのヒト骨格筋の非震え代謝に見られる適応現象を検討した.8名の成人男性が本研究に参加した.右前腕部を組織温度が25℃に達するまで,別日に合計8回繰り返し冷却した.冷却期間前後に,同様の方法で冷却された前腕部組織代謝の適応現象を評価した.組織温度を熱流補償法により測定し,2℃低下毎に最大下等尺性掌握運動を行い,その間の15秒間動脈阻血した.近赤外線分光法により測定した阻血時の指屈筋酸素動態の変化から,骨格筋酸素摂取指標を算出した.その結果,繰り返し冷却期間前後とも,組織温度の低下に伴い有意に指屈筋の酸素摂取指標が低下した(P<0.05).冷却期間後において,指屈筋の酸素摂取指標が組織温度35〜31℃の範囲で冷却期間前よりも有意に高値を示した(P<0.05).本研究の結果から,前腕部組織の局所的な繰り返し冷却により,ヒト骨格筋における非震え代謝が亢進する適応現象が示された.
「デサントスポーツ科学」第34巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
本研究は,前腕部を局所的に繰り返し冷却し,組織冷却下でのヒト骨格筋の非震え代謝に見られる適応現象を検討した.8名の成人男性が本研究に参加した.右前腕部を組織温度が25℃に達するまで,別日に合計8回繰り返し冷却した.冷却期間前後に,同様の方法で冷却された前腕部組織代謝の適応現象を評価した.組織温度を熱流補償法により測定し,2℃低下毎に最大下等尺性掌握運動を行い,その間の15秒間動脈阻血した.近赤外線分光法により測定した阻血時の指屈筋酸素動態の変化から,骨格筋酸素摂取指標を算出した.その結果,繰り返し冷却期間前後とも,組織温度の低下に伴い有意に指屈筋の酸素摂取指標が低下した(P<0.05).冷却期間後において,指屈筋の酸素摂取指標が組織温度35〜31℃の範囲で冷却期間前よりも有意に高値を示した(P<0.05).本研究の結果から,前腕部組織の局所的な繰り返し冷却により,ヒト骨格筋における非震え代謝が亢進する適応現象が示された.
「デサントスポーツ科学」第34巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 | 若林斉 |
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大学・機関名 | 千葉工業大学 |
キーワード