神経生理学的視点に立った前十字靱帯(ACL)損傷後の新たなリハビリテーション戦略の開発
【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.34 Vol.34】
要旨
一連の先行研究では,損傷により起こる前十字靱帯(ACL)内のメカノレセプターからのフィードバックの欠落がγ運動ニューロンの感受性を低下させ,結果として高閾値運動単位の動員が妨げられることがこの筋力低下のメカニズムであると報告されている.これらの研究結果から,ACL損傷患者の場合,大腿四頭筋での高閾値運動単位の動員が妨げられた結果としてタイプⅡU線維の筋活動が選択的に低下し,発揮できる最大筋力の低下が起こることがわかる.この筋力低下メカニズムを基に考えると随意収縮のみでは効果的な筋収縮を引き出せないことになる.そこで随意収縮中に神経筋電気刺激と触刺激を利用した膝関節周辺の皮膚への感覚入力の増加を実施した.本研究では,これら2種類のトリートメントを用いながらの筋力発揮課題を被験者に与えT2値からACL患者の大腿四頭筋の活動部位を算出し,同一被験者においてトリートメントの活動部位を増加させる効果と比較した.その結果,いずれのトリートメントにおいても統計学的な有意差は認められなかった.
「デサントスポーツ科学」第34巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
一連の先行研究では,損傷により起こる前十字靱帯(ACL)内のメカノレセプターからのフィードバックの欠落がγ運動ニューロンの感受性を低下させ,結果として高閾値運動単位の動員が妨げられることがこの筋力低下のメカニズムであると報告されている.これらの研究結果から,ACL損傷患者の場合,大腿四頭筋での高閾値運動単位の動員が妨げられた結果としてタイプⅡU線維の筋活動が選択的に低下し,発揮できる最大筋力の低下が起こることがわかる.この筋力低下メカニズムを基に考えると随意収縮のみでは効果的な筋収縮を引き出せないことになる.そこで随意収縮中に神経筋電気刺激と触刺激を利用した膝関節周辺の皮膚への感覚入力の増加を実施した.本研究では,これら2種類のトリートメントを用いながらの筋力発揮課題を被験者に与えT2値からACL患者の大腿四頭筋の活動部位を算出し,同一被験者においてトリートメントの活動部位を増加させる効果と比較した.その結果,いずれのトリートメントにおいても統計学的な有意差は認められなかった.
「デサントスポーツ科学」第34巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 | 小西優*1,衣笠竜太*2 |
---|---|
大学・機関名 | *1 防衛大学校,*2 早稲田大学 |
キーワード