中高年者の脳萎縮を抑制する日常歩行量の解明 ~地域からの無作為抽出者を対象とした大規模縦断研究~
【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.34 Vol.34】
要旨
地域から無作為抽出された中高年者を対象に,日常歩行量が脳萎縮進行に与える影響を検討した.
対象者は「国立長寿医療研究センター・老化に関する長期縦断疫学研究」第2次調査と8年後に実施された第6次調査の両方に参加した,50〜79歳の男性381名,女性393名とした.8年間における前頭葉及び側頭葉萎縮の進行状況を,MRI画像より評価した.第2次調査時における歩行量調査を基に,脳萎縮進行を防ぐ歩行量閾値について,ロジスティック回帰分析により検討した.
男性において,歩行量が3,000歩ずつ減少した際の前頭葉萎縮進行のオッズ比は1.480(95%信頼区間,1.007-2.175)であった.また歩行量を5分位とした際の,第5分位に対する第1分位の前頭葉萎縮進行のオッズ比は3.651(95%信頼区間, 1.304-10.219)であった.女性では前頭葉萎縮進行と歩行量との間に関連を認めなかった.側頭葉萎縮進行は,男女ともに歩行量との関連を認めなかった.
中高年男性では,前頭葉萎縮進行を予防するために,一日あたり5,800歩以上の歩行量を維持する必要性が示唆された.
「デサントスポーツ科学」第34巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
地域から無作為抽出された中高年者を対象に,日常歩行量が脳萎縮進行に与える影響を検討した.
対象者は「国立長寿医療研究センター・老化に関する長期縦断疫学研究」第2次調査と8年後に実施された第6次調査の両方に参加した,50〜79歳の男性381名,女性393名とした.8年間における前頭葉及び側頭葉萎縮の進行状況を,MRI画像より評価した.第2次調査時における歩行量調査を基に,脳萎縮進行を防ぐ歩行量閾値について,ロジスティック回帰分析により検討した.
男性において,歩行量が3,000歩ずつ減少した際の前頭葉萎縮進行のオッズ比は1.480(95%信頼区間,1.007-2.175)であった.また歩行量を5分位とした際の,第5分位に対する第1分位の前頭葉萎縮進行のオッズ比は3.651(95%信頼区間, 1.304-10.219)であった.女性では前頭葉萎縮進行と歩行量との間に関連を認めなかった.側頭葉萎縮進行は,男女ともに歩行量との関連を認めなかった.
中高年男性では,前頭葉萎縮進行を予防するために,一日あたり5,800歩以上の歩行量を維持する必要性が示唆された.
「デサントスポーツ科学」第34巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 | 幸篤武*1,森あさか*1,李成喆*1,安藤富士子*2,下方浩史*1 |
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大学・機関名 | *1 独立行政法人国立長寿医療研究センター,*2 愛知淑徳大学 |
キーワード