信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 体温調整が困難な頚髄損傷者等の障害者に対する車いす運動中の体温制御システムの開発

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.38 Vol.38

 要旨

 脊髄損傷・頸髄損傷者は,自律神経系の機能が失われるため,発汗や血管の拡張・収縮などの体温調節を行うことが困難である.このため,重度の肢体不自由者が障害者スポーツに参加する上での大きな障壁となっている.また,障がい者アスリートにとっても,体温調節は競技本番に向けてのコンディショニングやトレーニングの効率化という観点から,重要な課題である.我々はこれらの課題を解決するため,中枢温を用いた体温制御システムの開発を行っている.本研究ではわれわれが開発した中枢温を推定する事が可能な深部体温計測装置を用い,車いすマラソンのアスリートを対象とした中枢温の計測を行った.計測の結果,中枢温は頭部よりも背中が高く,運動中よりも運動後に時間遅れを伴い上昇する事が明らかとなった.また,開発した深部体温計測装置の測定精度と応答速度を検証した結果,体温制御に用いるセンサとして十分な性能を有している事を確認した.試作した冷却システムを用いた検証では,健常者を対象としたエルゴメータ負荷実験を行った.実験の結果,背中の深部体温上昇が抑制され,冷却効果があることが示唆された.

「デサントスポーツ科学」第38巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 吉村拓巳*1, 田村俊世*2, 黄銘*3
大学・機関名 *1 都立産業技術高専, *2 早稲田大学, *3 奈良先端科学技術大学院大学

キーワード

頚髄損傷体温制御車いすマラソン深部体温非侵襲計測