信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 中高齢者における運動の糖代謝改善作用を促す発酵乳バイオジェニックスの検討

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.38 Vol.38

 要旨

 乳の発酵過程で生成されるバイオジェニックスの機能性が注目されている.本研究では,中高齢者を対象として,運動後の筋損傷および糖代謝におよぼす乳酸菌発酵乳由来バイオジェニックス,カゼイン加水分解物の影響について検証した.運動が禁忌となる疾患を有さない中高齢男女10名(49±2歳)を対象とし,プラセボ対照二重盲検クロスオーバー試験を行った.対象者全員が,運動前後にプラセボを摂取する条件(プラセボ条件)および運動を前後に乳カゼイン加水分解物を摂取する条件(アクティブ条件)をランダムな順序で行った.運動は,トレッドミルを用いた下り坂歩行運動(時速5km,下り勾配5%,30分間)を負荷した.運動翌日に,筋損傷指標,代謝指標を測定した.筋肉痛は条件間で有意な差はなかったが,血漿クレアチンキナーゼ濃度はプラセボ条件と比較してアクティブ条件で有意に低値であった.また,糖負荷後の炭水化物酸化量は,アクティブ条件において有意に高値であった.以上の結果より,中高齢者における低強度運動前後における乳カゼイン加水分解物の摂取は,筋損傷を軽減することで糖代謝を改善することが示唆された.

「デサントスポーツ科学」第38巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 青井渉, 岩佐真代, 阿部諒
大学・機関名 京都府立大学

キーワード

筋損傷糖代謝中高齢者発酵乳ウォーキング