信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 暑熱下持続的運動時における呼吸循環応答に及ぼす睡眠不足の影響

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.38 Vol.38

 要旨

 暑熱下持続的運動時の体温および呼吸循環反応に及ぼす断眠の影響を検討した.6名の健常男性を対象とし,暑熱下での中強度(50%VO₂peak)一定負荷持続的運動を,通常睡眠(Control条件)および約28時間の覚醒を伴う断眠(Sleep loss条件)の2条件下で実施した.運動継続時間に条件間で違いはみられなかった.食道温(Tes)は安静時においてSleep loss条件で低い傾向を示したが,運動時および運動終了時のTesに差はみられなかった.Tesに対して換気および発汗・皮膚血流反応をプロットし,深部体温上昇に伴う換気亢進および体温調節反応を検討した.その結果,深部体温上昇に対する換気亢進の感受性(Tesと換気量(VE)の関係における回帰直線の傾き)は,Control条件よりもSleep loss条件で高い傾向を示し,さらに同一Tes時のVEは38.8℃においてSleep loss条件で有意に高値を示した.発汗開始および皮膚血管拡張のTes閾値ならびにTes上昇に対する各反応の感受性に条件間で差はみられなかった.これらの結果から,暑熱下での最大下持続的運動時において,一過性の断眠によって体温上昇時の換気亢進反応が増大する可能性が示唆された.

「デサントスポーツ科学」第38巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 辻文*1, 西保岳*2
大学・機関名 *1 県立広島大学, *2 筑波大学

キーワード

高体温過換気熱中症断眠暑熱環境