信州大学 繊維学部技術データベース

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PDF 持久性運動開始直前の糖質摂取による運動誘発性低血糖(インスリン・ショック)の発生を規定する要因の解明

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.38 Vol.38

 要旨

 本研究は,持久性運動開始3時間前の食事摂取の有無が,運動開始直前の糖質摂取による低血糖の発生に及ぼす影響を明らかにすることと,運動開始直前の糖質摂取による低血糖を規定する要因を明らかにすることを目的として行った.16名の若年日本人男性を対象として,運動開始3時間前に朝食を摂取する条件と,一晩絶食の条件において,150gのグルコースを摂取した30分後に,最大酸素摂取量の75%の強度で60分の自転車運動を行った.両条件において,運動開始15分後における血糖値の平均値は低血糖の基準である70mg/dLを下回らなかったが,朝食摂取条件では7名,絶食条件では5名において低血糖が起こった.朝食摂取条件において,低血糖が起こった者は,正常血糖の者と比較して最大酸素摂取量が有意に高く,絶食条件においては,運動開始直前のインスリン濃度とインスリン分泌指標が高かった.以上の結果より,若年日本人男性において,摂食状況に関わらず,運動開始直前の糖質摂取により低血糖が起こる者がいることが明らかになった.また,運動3時間前に食事を摂取した状態においては最大酸素摂取量が,一晩絶食の状態においては,インスリン初期分泌反応が高い者において,低血糖が起こりやすい可能性が示唆された.

「デサントスポーツ科学」第38巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 谷澤薫平*1, 近藤早希*2, 伊藤智子*2, 孫暁敏*3, 鈴木克彦*2
大学・機関名 *1 医薬基盤・健康・栄養研究所, *2 早稲田大学, *3 西安交通大学

キーワード

糖質摂取持久性運動低血糖個人差