信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 高齢者における足関節底屈筋群の瞬発的な力発揮能力向上を目的とした在宅トレーニングが立位姿勢保持能力に及ぼす効果

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.38 Vol.38

 要旨

 本研究では,70代の高齢男性を対象に,素早い動作を意識した在宅でのカーフレイズトレーニングが足関節屈曲群の瞬発的な発揮能力,立位姿勢保持能力を変化させるかについて検討した.トレーニング群の被験者13名(73.9±2.9歳)は,自重によるカーフレイズトレーニングを週3回,8週間,自宅で実施した.一方,コントロール群の被験者10名(73.2±3.3歳)は,同期間,普段通りの生活を送った.8週間の前後で,足関節底屈筋群の Rate of Torque Development(RTD)及び筋体積,片脚での静止立位中の足圧中心(COP)軌跡の外周面積及び腓腹筋内側頭の筋硬度を測定あるいは推定した.また,RTDについては最大随意収縮時のピークトルクで正規化した他(nRTD)を算出した.コントロール群において,いずれの変数も8週間の前後で変化がみられなかった.一方,トレーニング群では8週間のトレーニングに伴い,nRTD及び筋硬度は増加し,COP軌跡の外周面積は減少した.これらの結果は,足関節屈曲筋群の瞬発的な発揮能力及び立位姿勢保持能力が,在宅でのカーフレイズトレーニングにより改善されることを示すものであった.このように,本研究で採用したトレーニングプログラムは,実際に高齢者の Quality of Life の維持・向上を果たす上で有用なものであることが明らかにされた.また,筋の機械的性質の観点から,筋の硬さが瞬発的な力発揮能力に貢献し得る可能性が示唆された.

「デサントスポーツ科学」第38巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 赤木亮太*1, 江間諒一*2
大学・機関名 *1 芝浦工業大学, *2 芝浦工業大学大学院

キーワード

力の立ち上がり率下腿三頭筋エラストグラフィ足関節底屈トルク片足立ち