信州大学 繊維学部技術データベース

Research Seeds

PDF 加齢に伴う温度感覚の減弱は全身持久力の向上で改善できるか?

【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.38 Vol.38

 要旨

 老化に伴う温度感覚の減弱に及ぼす全身持久力低下の影響を明らかにすることを目的とし,最大酸素摂取量および身体的特性の等しい健常な高齢男性6名(平均年齢69歳)および若年男性7名(平均年齢22歳)において温度感覚を比較した.平常体温時および受動加温(下腿温浴42℃)による軽度高体温(食道温+0.7~0.9℃)時に,体温調節応答に加えて前腕部および胸部の温覚・冷覚閾値(±0.1℃/秒),および,全身の温熱感覚(VAS法)を測定した.その結果,両体温条件において,食道温および平均皮膚温に群間の有意差を認めなかったが,前腕部温覚閾値は若年者に比べて高齢者で有意に高値(鈍化)を示した.一方,胸部温覚閾値,両部位の冷覚閾値および全身の温熱感覚には,両体温条件において群間の有意差を認めなかった.これらの結果は,老化に伴う全身持久力の低下は,全身の温熱感覚の減弱の原因となるが,末梢部の温覚閾値の劣化には関与しないことを示唆し,全身持久力の向上によって老化に伴う温度感覚の減弱が一部改善することが期待できる.

「デサントスポーツ科学」第38巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 岡崎和伸*1, 横山久代*1, 今井大喜*1, 太田暁美*2
大学・機関名 *1 大阪市立大学, *2 大阪市立大学大学院

キーワード

体温調節温度感覚加齢高齢者全身持久力