みなさん,こんにちは.信州大学医学部画像医学講座からアメリカ・シカゴ大学放射線科に留学中の山田です.私は平成21年4月に渡米し,シカゴ大学放射線科の土井邦雄教授のもとコンピューター支援診断(Computer Aided Diagnosis, CAD)を学んでいます.
CAD は急速に発展している診療分野であり,病変の検出にとどまらず質的診断,治療方針決定,治療効果判定にと応用は広範囲にわたります.シカゴ大学は CAD 研究の先駆的施設であり,現在も多数の研究者が日夜新しい技術の開発・臨床応用に日夜励んでいます.シカゴ大学での私の主な研究テーマは、 CAD の技術を利用した肝機能の定量的評価です。実現すれば肝切除や肝移植の際の治療方針決定がより簡便に,より正確になる可能性があります.帰国後は臨床例の豊富な信州大学で、実際の診療に役立てるよう研究を継続したいと考えています.
シカゴでのもう一つの私の業務に遠隔読影があります.信州大学画像医学講座では長野県内の関連病院との間に遠隔読影ネットワークを構築していますが、留学先のシカゴでも読影可能な環境に整備していただきました。おかげで私は、研究生活を送りながら画像診断医としての臨床能力を維持できるという恩恵を受けています。このような魅力的な留学環境は、今後留学を希望する先生方にとっても大きな励みになるものと確信します.
海外生活について少し触れたいと思います.私は妻と二人の娘(3歳と6ヶ月)と共に渡米致しましたが,この留学は家族にとっても貴重な経験となっています.上の娘は現地校に通っていますが,言葉の壁をものともせず異文化を吸収していますし,下の娘も人種や民族の違いを超えて物怖じもせず街行く人々に愛嬌を振りまいています.私や妻にとっても慣れない環境は普通に暮らすだけでも大変ですが,この苦労が家族の絆を固めるのだと思うと自然に力が湧いてきます.
留学期間も残すところあと2ヶ月余りとなりました.帰国を控えて思うことは,留学期間中の経験も大切ですが,留学の本当の意義は帰国後の努力で結実するのであろうということです.
最後に,私にこのような恵まれた留学の機会を与え,快く送り出して頂いた医局員の皆さんに感謝しつつ筆を置きたいと思います.
平成22年1月 真冬日の続くシカゴにて
山田 哲(やまだあきら)
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