東日本大震災による福島原発事故に伴う
放射線遺漏への私達の対応について
病院玄関の案内表示   帰院した派遣員の測定風景
  平成23年3月11日午後2時46分頃、宮城県三陸沖を震源とする大地震が発生しました。その直後には、東北から北関東の太平洋沿岸を大津波が襲い未曾有の大災害となりました。この度の東日本大震災により犠牲になられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、ご遺族の方々に対し心よりお悔み申し上げます。また、被災された皆様に一日も早く平穏な日々が戻ることを切に願い、心よりお見舞い申し上げます。
 震源地から遠く離れた長野県でも、これまでに経験したことのない強い揺れを感じました。さらに翌日の3月12日には長野県北部を震源とする強い地震がありました。 信州大学医学部附属病院では、同日早朝に、被災者救援のための緊急災害対策委員会を設置しました。また福島においては、被災した原子力発電所内の事故に伴う漏洩放射能による二次災害への懸念が浮上しました。被災地を越え東北地方一帯、関東甲信越地方の広い範囲の住民までも不安に陥れ、遠く離れた長野でも放射線汚染に関するさまざまな風評が飛び交う現状です。
 私たちは「放射線」を診断・治療に扱う専門家として、3月14日には病院内で放射線災害対策委員会を立ち上げ、放射線汚染の影響とその対応策を検討してきました。文部科学省からの要請を受け、15日には放射線科医師、放射線診療技師、看護師および災害派遣医療チーム(DMAT)の一員である事務員によるチームを編成し、福島県へ放射線測定活動に向かいました。チームメンバーの報告によると、17日に原発から30km圏外の田村市で被災者のサーベイ(被爆の有無を確認する作業)を行った結果、幸いなことに徐染を必要とする方はいなかったとのことです。一方、放射線汚染を心配して福島県から長野県内に避難し、直接その足で来院する方がいることも想定し、検査・測定のマニュアル作成と臨時検査・徐染室の設営を20日までに整えました。これまでに数名の方が検査を希望して来院しましたが、放射線汚染は認められず安心してお帰りいただいています。また、院内従事者のみならず、そのご家族やご近所の皆さんの間にも不安と風評が増大してきていることを受け、放射線に対する正確で科学的な認識を持っていただくことを目的にミニレクチャーを開講し200名を超える聴講者を得ています。さらに、テレビ出演や新聞社の取材にも可能な限り応じ、一般市民の皆さんに向けて、過度な不安にとらわれず冷静な判断と対応をとっていただけるよう啓発活動も行っています。
 福島原発では事態好転をめざし関係者による懸命な努力が続けられています。とはいえ、困難な局面がなかなか打開されないことから、県内に避難された方や近親の方のみならず、多くの県民からも放射線被ばくについての問い合わせが寄せられています。私たちは、今後も現状を正確に把握し、冷静に対応していきたいと考えています。原発事故対策や放射線汚染による影響については、以下のホームページも参照いただければ幸いです。
参考ホームページ ◆社団法人日本医学放射線学会 http://www.radiology.jp/
◆「首相官邸ページ」各地のモニタリングデータ  http://www.kantei.go.jp.cache.yimg.jp/saigai/monitoring/index.html
◆「放射線医学総合研究所ページ」原子力発電所被害に関する放射能分野の基礎知識 http://www.nirs.go.jp/information/info.php?i3
◆「厚生労働省ページ」東北地方太平洋沖地震関連情報 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/bk_2r98520000016378.html
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