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お知らせ

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写真:産業論特論

平成21年度 第5回 高橋 彦芳 先生 (長野県栄村前村長)の講義が行われました。

平成21年5月27日 第5回 高橋 彦芳先生の講義が行われました。

テーマ:「実践的住民自治への道」

 第5回講義においては、長野県栄村前村長の高橋彦芳氏より、「実践的住民自治への道」と題して、地方自治における自らのリーダーシップについてご講義をいただいた。冒頭、中央政府による上からの集権的な近代化の優位と、自治体における下からの近代化の追随性について言及され、わが国憲法下では国政と地方自治においては住民自治が優先されなければならないとされた。そして、それゆえに、地方自治の現場においては、住民は権利的立場にとどまらずに、可能な限り行政の執行過程において、行政と協働して新しい価値を創造する「実践的住民自治」の探求が重要であるとのお話があった。その後、農山村の経済・文化に明るい展望をもった50年代新農村建設運動、農山村住民の自己疎外が深刻化した60年代の高度経済成長政策について触れられ、マンモス都市住民との交流をねらった「ふるさとの家」の成功から、住民とともにご自身も自信をもたれたお話をされた。そして、1988年に村長に就任して実践的住民自治を提唱し、行政の執行過程への住民参加による住民意識の自己改革と費用の低減を考え、「田直し」「道直し」のほか、住民が行政にできるだけ主動的にかかわるように配慮しつつ、各種の施策を実施してきた。市場からのサービス量の小さい農山村の活性化と自立のためには積極的な財政サービスが必要であり、そのためには地域循環的経済体制を構築することが不可欠である。そして、これは地域の自然対住民、住民対住民、住民対行政の関係性のより高い実践的住民自治の構築によって可能になると話をされ、講義を締めくくられた。