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お知らせ

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写真:産業論特論

平成21年度第1回 吉澤 厚文先生(東京電力株式会社 福島第一原子力発電所所長付部長)の講義が行われました。

平成21年4月15日 第1回 吉澤 厚文先生の講義が行われました。

テーマ:「人と組織はなぜ動くのか」

 

第1回講義においては、まず、本学部教授の大西淳也より、平成21年度産業論特論の講義のねらいを以下の通り解説した。「わが国社会が富士山型から八ヶ岳型の構造に変わりつつあるなかで、各峰のリーダーたらんと欲するのであれば、リーダーシップを意識することが重要である。同時に、人生を3段階に分けるとすれば、地べたをはいずりまわり、草をはむような経験をすべき10余年、きっかけを得て、時代をとらえ、見えない先を想像し、思いを練りあげて、リーダーとしての旅路を歩み始める10余年、さらに、苦難の道を乗り越え、周りの人々からの支援の輪を広げていく10余年がある。学生には、第3回以降のわが国トップ・リーダーの講義を通じ、それぞれの歩みを感じとってほしい。また、第1回では3段階の真ん中のミドル世代の講義を通じ、人生の歩みに思い寄せてほしい。第2回ではリーダーシップ論をアカデミズムの観点から簡潔に講義をいただく。」

その後、東京電力株式会社福島第一原子力発電所所長付部長である吉澤厚文氏より、「人と組織はなぜ動くのか-変革活動を通して考える」と題して、ご講義をいただいた。長野県飯田ご出身の吉澤氏は、東京電力福島第一原子力発電所における、自らが立ち上げ、周りを巻き込んでいった「プロジェクト∑」を例に、変革とは何か、変革活動はどのように進んだのか、なぜ人は動いたのかについて、具体的に説明された。変革とは「今と異なる方向に人、組織を向かわせること」とし、有視界飛行から無視界飛行に変わるなかで、軸は何か、現状と新しい方向とのギャップは何か、および、新しい方向に向かうためのステップは何かが重要となる。しかし、変革は知識だけでは起きないとし、動機づけに関する理論を紹介しつつ、どうしたら動いてくれるのか、変革を阻むモンスターに対する対策はどう講じればよいのかなどについて、具体例を示しつつ説明された。そして、吉澤氏にとってのゴールは、組織が人を本当に「その気にさせる」ことが重要であり、ご自身として、そのような組織を創りたいとの思いを述べられた。吉澤氏が唱え、周りを巻き込んでいったプロジェクト∑は、その後、現状分析、将来の方向性を議論する企画として、東京電力のすべての発電所で展開、継続されるにいたっている。そして、吉澤氏は、知っているだけでは何もおきない。どれだけ実行できるかがカギであると述べられ、「成せばなる 成さねばならぬ何事も 成さぬは人の 成さぬなりけり」という上杉鷹山の言葉をもって、最後を締めくくられた。