腸内環境を制御する乳酸菌・腸内細菌に関する研究

動物の腸内には、多彩で膨大な数の微生物が生息しており、それらは互いにもしくは宿主の細胞と密接に相互作用をしながら、ユニークな生態系(腸内エコシステム)を形成しています。腸内エコシステムのバランスは、動物の健康もしくは疾患を運命付ける上で、極めて重大な役割を担っていることが、近年明らかになってきました。一方で、乳酸菌やビフィズス菌をはじめとするプロバイオティクスの摂取は、腸内エコシステムの状態を良好に維持・改善し、動物の健康に有益な効果をもたらすとされています。しかし、菌株ごとに機能の異なるプロバイオティクスが、どのように、どの程度、腸内エコシステムを調節できるかについては不明な点が多いのが現状です。そこで本研究室では、①プロバイオティクスの摂取が腸内エコシステムの状態に及ぼす影響を評価するためのマウスモデル系を確立し、②とくに腸内エコシステムの制御に有益な菌株を“腸内エコバイオティクス”として提案することを目指しています。“腸内エコバイオティクス”を用いて腸内エコシステムを操り、人々の健やかな生活や家畜・家禽の健全育成に貢献することが本研究のゴールです。