研究室創立10周年を迎えて

 

下里 剛士(研究室主宰)

当研究室は、2017年11月1日をもって、10周年を迎えることが出来ました。当研究室からは、これまでに、博士課程修了1名、修士課程7名、学士課程16名の卒業生を輩出しております。OB/OGの皆様が、各方面でご活躍されていることと思います。

研究室の原点(2007年11月1日)D棟2階

  
私は、信州大学テニュアトラック事業(ファイバーナノテク国際若手育成拠点)の特任助教として採用され、29歳で一つの研究室を運営することになりました。テニュアトラック期間中は、まさに自転車操業で、来年度の資金繰りのプレッシャーの中、私自身が「主力プレイヤー」として実験台に向かい、研究室の学生さん達の先頭に立って、実験を進めていました。今となっては、とても懐かしく思い出されます。近年では、様々な大学の管理運営業務に追われる毎日となり、すっかり「研究室マネージャー」としての立場が確立してしまいました。大学教員としてのキャリアを重ねる過程で、これは致し方ない状況であると理解しつつ、プレイヤーとしての未練が捨てきれない39歳となりました。そのような状況下でも、着実に論文発表を重ねて来られたことは、研究室内における学生間、卒業する者と残る者の情報伝達がしっかりと働いていることの証であると感謝しています。むしろ私自身が白衣を着て大回転していた頃と比較して、研究室が活性化していることは、教員冥利に尽きると言えます。今後、当研究室が更なるステップアップをしてゆくためには、学生さんの研究に対する興味関心と、自主的な意欲を喚起し、若いエネルギーを最大限に引き出すことが重要です。そのためにも、限られた時間の中でも学生との対話を大切に、個々の性格・性質を見極めることに力を注ぎたいと思います。

創成期を支えてくれたお二人(左:伊藤雄亮くんと、右:重盛駿くん)

  本学の酪農科学分野では、過去には細野明義先生(現 信州大学名誉教授)、大谷元先生(現 信州大学名誉教授)が我が国における農学界最高峰の日本農学賞を受賞し、トップクラスの研究実績を誇ります。私は、本学農学系の誇る伝統的な学問領域を継承するという使命を果たすため、学問領域として酪農科学に軸足を置き、傑出した成果を信州大学から発信することを目標にしています。そのためにも、大学の研究者として、研究成果を原著論文として発表する「論文第一主義」を貫いて参ります。退職となる研究室創立35年を迎える時、恥ずかしくない研究成果を世に残すことが出来たのかどうか、自己評価したいと思います。まずは次の10年、創立20年(2027年)の節目に向かい、もう一段階ギアを上げて精進して参ります。どうか今後ともご指導ご鞭撻を頂けますよう、よろしくお願い申し上げます。

2017年11月1日

 

10年間の歩み

■2007年11月
 信州大学ファイバーナノテク国際若手育成拠点 応用分子細胞生物学分野 「下里研究室」として南箕輪キャンパス(現 伊那キャンパス) D2階に研究室を設置:メンター教員(大谷 元 教授:現 信州大学名誉教授)

第一期生 舘尾万里子さん(中央)と第二期生 藤本恵さん(左)

第三期生 仲西真耶さん(左から一人目)と畑野木の実さん(左から二人目)、第二期生 藤本恵さん(右)



201008
 テニュアトラック中間審査( 3年目)

実験していた頃...



201103
 耐震改修工事に伴い、研究室が D2階から C4階へ移転

201108
 テニュアトラック最終審査( 4年目)

201110
 テニュアトラック最終審査結果の通知:テニュア授与「可」

2011年10月



201204
 信州大学大学院農学研究科機能性食料開発学専攻・食料機能開発学講座 内「食資源分子機能工学研究室」へと研究室名を改名
 下里 剛士 助教が准教授へと昇任・信州大学大学院総合工学系研究科(博士課程)○合取得

2013年11月



201404
 下里 剛士 准教授が、信州大学先鋭領域融合研究群バイオメディカル研究所・代謝ゲノミクス部門の併任教員として参加

2014年6月

大谷元教授 ご退職
2014年8月

2014年9月



201504
 信州大学農学部において、改組が行われ、農学生命科学科・動物資源生命科学コース 内 「分子生命工学研究室」へと改名

Dr. Julio来研
2015年11月



201602
 国立研究開発法人農研機構食品総合研究所から荻田 佑 助教(信州大学先鋭領域融合研究群バイオメディカル研究所 マイクロバイオーム分野)が着任し、2教員体制となる

201610
 下里 剛士 准教授が、信州大学次代クラスター研究センター 菌類・微生物ダイナミズム創発研究センター・センター長に就任(超分子複合体部門/新井亮一 部門長に参加)


201711    
 研究室創立 10周年を迎える