
代表研究者 : 基盤研究支援センター 教授 松村 英生 経法学部 特任教授 鹿取 みゆき
◯ 葉および剪定枝のいずれを材料としても感染ウイルスの検出が可能な条件を確立できた。これにより栽培者、苗木業者などからのニーズに応じたウイルス検査を実施できる技術を確立できた。
① 剪定枝からのウイルス検査技術の確立 長野県内等のワインブドウ生産者より複数のワインブドウ葉および剪定枝の試料分譲を受け、それらの組織から市販のカラム並びに磁気ビーズを用いた方法よりRNA抽出を行い、PCRによるウイルス検出の条件検討を実施した。 RNA抽出効率に最も影響を与える組織の破砕条件の検討等を行った結果、葉および剪定枝のいずれを材料としても感染ウイルスの検出が可能な条件を確立できた。これにより、栽培者、苗木業者などからのニーズに応じたウイルス検査を実施できる技術を確立できた。
② 複数ウイルスの複合感染を検出できる網羅的なRNA解析技術の確立 PCR法等でウイルス感染が検出されたワインブドウ葉のRNAを用いて、大規模なRNAシークエンス解析により複数種のウイルス感染を定量的に検出する手法の確立を試みた。 その結果、PCR法等で検出されたウイルスに加えて、2種類のウイルスの感染の検出と定量(RNA量)に成功した。本技術の確立によりコストを抑制しつつ効果的にワインブドウに感染する複数のウイルスを定量的に検出できることが示された。また本法は新規ウイルスの検出、さらにはウイルス以外の病原体(細菌、糸状菌)の検出も可能であり、新たな病害診断法の選択肢として有効な技術と言える。
信州大学学術研究・産学官連携推進機構 特任教授 角田 哲啓 Mail : a_tsunoda@shinshu-u.ac.jp