カーボン科学研究所は2019年4月より先鋭材料研究所に改組されました。(≫先鋭材料研究所のサイトはこちら)
本Webサイトは、2019年3月までの情報となりますのでご了承ください。

橋本佳男所長からのメッセージ

1.研究群で活動をつづけるカーボン科学研究所

橋本佳男所長1

信州大学カーボン科学研究所は、2014年から先鋭領域融合研究群の一つとして活動してきました。CNT(カーボンナノチューブ)を中心とする新しいカーボン材料の応用研究は、知的クラスター創成事業により多くの企業を集め、地域卓越研究者戦略的結集プログラムにより世界レベルの研究者を集めて進めてまいりました。さらに、カーボン科学研究所では、世界の水を守るCOI拠点での水分離炭素膜の開発や農水省の事業による森林資源の有効活用した新素材の開発にもか関わり、本学の研究の重要な一翼を担っております。

もともとカーボン科学研究所は、CNTの発見・発明者で世界的権威の遠藤守信特別特任教授が、十数年前に工学部教授だった時に、学部や学科の枠を超えた研究グループを作るために始めたものです。信州大学発信の研究を企業や他の研究機関とも連携して展開させるため、先鋭領域融合研究群の一つの研究所として現在のカーボン科学研究所が活動することとなり、現在の研究活動を進めております。

2.外部企業にも積極的に門戸を開く

カーボン科学研究所は、遠藤特別研究室、基礎科学研究部門、応用材料工学研究部門、共用・プラット事業・ナノテクプラットフォーム研究部門、運営・マネージメント室の4部門1室で構成されています。このうち遠藤特別研究室は、特別招へいとして海外からお呼びしているテロネス先生やアジャヤン先生にも加わっていただく研究室で、COIや農水省の事業に加え、新規物質の創生や応用を目的とします。具体的な研究分野を標榜する部門は2つしか設けておりませんが、基礎科学研究部門は革新的なCNTや炭素材料の創出や物性の確認を、応用材料工学研究部門はそれらを応用した構造材や各種デバイスの開発を行っています。そして、本研究所の特徴的な研究部門として共用・プラット事業・ナノテクプラットフォーム研究部門があります。ここでは、外部企業などが製作したナノカーボンの物性試験や構造解析の受託、あるいは各種測定機器の貸出しの他に、外部企業や研究者との共同研究なども積極的に支援・実施します。共用事業については、文部科学省のナノテクノロジープラットフォームを活用する場合には結果の公表が必要となりますが、成果非公開の事業も行っており、こちらも多くの利用があります。

3.夢の素材を探求して熱い研究がスタート

同研究所で扱うCNTは、ダイヤモンドや炭の仲間である炭素原子だけからなる材料の一つです。CNTは、炭素六角網平面シートを丸めた筒状構造なので、軽くて強いだけでなく、ナノ構造の一部を他の元素に置き換えることで、それまで考えられなかった広範な機能を持たせることが期待されています。例えば、銅より高い導電性を付与したCNTを作り出すこともできています。また、ナノの材料設計は研究者の大変楽しい仕事ですが、企業などに注目される研究はCNTの機械的強度、熱・電気の伝導性を活用する複合材の開発の方になるでしょう。これまで築いてきたCNTの研究成果を礎に、従来を超える研究成果をあげて、こうした夢の素材を生み出していきたいと思います。

橋本佳男所長2