05参考:全固体電池の図解参考:高分子人工筋肉の伸縮画像バッテリー(電池技術)プロトタイプはリチウムイオン電池ですが、最終的には、人体に安全かつ小型・高容量・高耐久性の非接触充電式全固体電池を目指します。コントローラー(制御系)生体の動きを感知してアクチュエータを駆動、過剰にならない高精度な制御が必要です。動きをセンサーで捉え追従して歩行をアシストする同調制御法と筋電計測でアクチュエータを駆動する筋電制御法を比較し、最適な制御法を選択することになります。アクチュエータプロトタイプはモーターですが、高分子人工筋肉との比較検討を行います。現在のパワーは正常筋肉の10%ですが、最終的には3倍の30%に高める必要があります。骨髄内釘2040年には3人に1人が高齢者になるとも言われます。当然自立歩行が困難な方も増えていきます。信州大学はこれらの社会的課題を背景に2015年から国の支援を受け、体内埋込型の歩行アシスト装置(サイボーグ技術)の開発を行ってきました。すでに開発中であった体外装着型のロボティックウェアcurara®の実用化と合わせて、体内埋込型のプロトタイプ製作までをまずはプロジェクトの目標としました。装着や持ち運びの手間、活動場所の制限などの課題を解決するもので、実現すればもちろん世界で初めてとなる試み。信州大学の特色ある先端研究、医療機器開発/脳神経疾患治療/運動機能評価技術(医学)とロボット/バッテリー/カーボン/ファイバー技術(工学・繊維学)を結集した日本初の医学・工学・繊維学分野の連携研究で、社会に大きなインパクトを生み、期待されるプロジェクトとなりました。体内埋込型技術が理想とされる大きな理由は3つ。そのひとつは「介護者不要」。歩行障害をサポートするロボットという概念では、現在はアシストスーツなどを「外部装着」する必要があり、高齢者や障がいのある方には、ひとりでの装着は難しく補助する方が必要でした。2つ目は「持ち運び不要」。例えば旅行など、遠くに行く際に、これまでのロボットスーツは大きな荷物として「持ち運ぶ」必要がありました。3つ目は「使用環境を選ばない」。例えばお風呂やプールでは、当然その都度、着脱の必要がありましたが、その面倒さから解放されます。これらは理想であり、究極形とも言われる新しい仕組みですが、この夢の技術を実現するためには、様々な課題もあります。特に、生体材料や医療機器の開発を専門にする、バイオメディカル研究所の齋藤直人所長(生体医工学)と、体外装着型のロボティックウェアcurara®の開発者である繊維学部の橋本稔特任教授(ロボット工学)、サイボーグ技術には不可欠といわれる、全結晶型二次電池の開発に、先鋭材料科学研究所の手嶋勝弥所長(無機材料科学)が中心となって進められました。骨髄内釘を埋め込むという手術は骨折などの処置として、整形外科では日常的に行われているものですが、それ以外のアクチュエータやコントローラーが安全に機能するか、関節がきちんと動くかなど、きわめてハードルが高い研究開発プロジェクトでした。各パーツの小型・軽量化・耐久性などはもちろん、スムーズな関節駆動方法の開発や生体親和性など人体との関連課題は山のようにありましたがひとつずつクリアを重ね、現在のコンセプトプロトタイプの完成に至っています。3人に一人が高齢者となる時代のイノベーションの象徴として体内埋込が理想形とされる理由と実現のためのハードルの高さ齋藤 直人先鋭領域融合研究群バイオメディカル研究所長学術研究院(保健学系)教授1988年信州大学医学部卒業。同医学部附属病院医員。1996年同医学部助手。1999年同医学部講師。2004年同教授。2014年よりバイオメディカル研究所長。さいとうなおと❶介護者不要体内埋め込みだから着脱不要、ひとりで完結❷機器の持ち運び不要気軽に旅行や外出ができ行動範囲が広がる!❸使用環境を選ばないお風呂やプールなど、着脱の煩わしさから解放体内埋め込み型が理想とされる理由3つの特 徴リチウムイオン電池(3.6V×4)全結晶型二次電池(14.4V)液体電解質負極正極固体電解質パッケージ小型化「体内 見えて 2021年1月、同プ Walking Assist Cyborg (Image)プロジェクトキックオフ時に作成した埋め込みのイメージ画像
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