04歩行アシストサイボーグプロジェクト5年間の軌跡かな力でも検出できるセンサ技術が用いられており、装着者の動きに合わせたアシストを可能にしています。3つ目は、「非外骨格型構造」である点です。人の関節にモータの力を直接伝える機構となっているため、ロボット関節の間をつなげる外骨格(リンク)を用いる必要がなく、軽量化と動きやすさを実現します。これらの特徴は開発初期の段階から持っていたものでしたが、着脱が容易な“着る”ロボットというイメージをより具現化するため、改良を重ねてきました。「リハビリ訓練での利用を目的としているので、想定される利用者は高齢者や障がい者がほとんど。軽量化と動きやすさ、着脱の容易さを求めることは不可欠でした。現在は、健常者であれば1人で着ることもできるようになりましたが、高齢者や障がい者の場合は補助が必要です。いずれはハンデのある人でも一人で着られるようになることを目指しています」(橋本特任教授)製品版は2021年中にリリース予定。福祉施設や病院などでのリハビリ支援での利用を想定しています。事業化にあたりAssistMotion(株)は、神奈川県や川崎市などが資本を持つビジネスインキュベーターの(株)ケイエスピーと、セキュリティー会社の(株)ラックの2社から開発費の出資を受けることとなりました。本プロジェクトが構想するスマートシティへの期待も、出資を後押ししたそうです。「いずれ、リハビリだけでなく、高齢者や障がい者の自立支援のため、curara®を日常的に装着できるようになる社会を目指しています。ハンデがある人の健康増進にも役立てたいですね。将来的にはロボットを補助者とすることで、誰もがより安心安全に暮らせる街づくり、スマートシティの構築を目指したいと考えています。まだまだ道半ばですが、ロボットがIoT機器となる日もそう遠くはないと思っています」(橋本特任教授)2020年9月からは有償でのモニター貸出も開始しており、すでに横浜市で開催されたヨコハマトリエンナーレの催しのひとつとして3か月間利用され、延べ500人がcurara®を実際に体験しています。その調査結果をもとに、さらなる改良を行う予定です。製品化に伴う課題は価格設定。現在、有償モニターは初期導入費を6万円、レンタル料を月8万円に設定しており、2週間は無償で利用することができます。製品版ではより安価に提供できる体制づくりも目指します。curara®の技術の多くは、体内埋め込み型アシストロボットの開発にも応用されています。製品化に伴う知見が埋め込み型にどう応用されるのかにも、期待がかかります。ベンチャー支援企業も参画、すでに現モデルでレンタル開始、2021年内には製品化される予定橋本 稔信州大学繊維学部 特任教授電気通信大学助手、鹿児島大学助教授を経て信州大学教授、2018年に定年退職し、現職。研究分野はバイオロボティクス。はしもとみのる
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