03開発開始から約10年を経て、生活動作支援ロボットcurara®(クララ)がいよいよ実用化のステージに入りました。衣服のように着るロボット=ロボティックウェアをコンセプトに、信州大学繊維学部の橋本稔特任教授が2008年頃から零号機の試作を開始、2020年10月末報道陣を招いて、実質上5号機となる製品版のプロトタイプ「curara®WR-P」を披露。量産化を見据えた、ほぼ完成形のモデルで、現在は信州大学発ベンチャーAssistMotion(株)が事業化に向けた準備を進めています。2015年に始まった「歩行アシストサイボーグプロジェクト」は、体内埋め込み型の歩行アシストロボットの開発と同時に、すでに開発が進んでいたcurara®の実用化もミッションのひとつとして掲げてきました。事業最終年度である2020年に、ほぼ完成形となるモデルの開発に成功したことになります。「curara®WR-P」は、2017年に発表された4号機と同様、股関節と膝関節横に左右2つずつ、合計4つのモータとセンサを備え、背中にコントローラとバッテリーを背負い、それらをフレームとベルト類で体に固定する構造です。重量は約4キロ。フレームの改良、バッテリー重量の最適化を行った結果、4号機と比べ約1キロの軽量化を実現しています。また、4号機で採用していた脚の前面に回り込むフレームを排し、動きやすさを重視した直線型のフレームに回帰。より小型化し、体にフィットするよう形状やデザインも一新しました。「量産化を見据え、モータや減速機などの部品も見直しました。さらに、これまでは平面での歩行アシストのみでしたが、今回新しく『階段昇段』をアシストするモードも加わりました。これで、高齢者の負担となりやすい階段の上り下りといった動作へのアシストも可能となりました」と開発者の橋本特任教授。健常者であれば1人で着用できるうえ、着脱にかかる時間は1分程度。モードの切り替えやアシストの開始・停止などの操作は付属のタブレットで行い、フル充電をすれば1時間の連続駆動が可能です。curara®の1号機が開発されたのは2011年。広報室では、開発当初からその変遷を追い続けてきました。年を追うごとに各パーツの形状や機能性、課題となっていた重量などが改善されてきており、製品化を目前に控え、感慨深いものを感じます。curara®の特徴は、大きく3つ。1つ目は「同調制御法」という、人の動きに同調し動きをアシストする、人に優しい制御系である点です。2つ目は、「相互作用トルク(力)検出法」。人が動こうとする際のわず2020年10月末、遂にプロトタイプ最終モデルとなるcurara®(クララ)を発表零号機から数えて10年最終モデルとなる5号機へその道のりを開発者に聞くAssistMotionへ出資するセキュリティー会社のラック本社(東京都)で開いた報道発表の様子。橋本特任教授もcurara®(クララ)の機能説明など行う。curara®(クララ)のデモ。モータの力を関節に直接伝える「非外骨格型」のため、しゃがみやすい人に寄り添う「着るロボット」、生活支援ロボティックウェアとして貫かれた開発コンセプトのcurara®(クララ)が遂に実用化のステージに。「装着型」生活支援ロボティックウェアcurara®(クララ)2021年製品化へ
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