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SDGs6番目の目標は非常に重要なもので、信大COIの活動はSDGsに大いに貢献し、信州発の新しい技術が現地の人を助けることになるでしょう。科学の力で生活の質向上に貢献できる、大変すばらしい取り組みです。アクア・ネクサスカーボン-プラットフォームは、企業や組織の技術課題や大学への期待を共有することでシーズとニーズがマッチングし、新たなビジネスの発展につながっていきます。進展に期待しています。引き続き、水に関係する産学連携を推進し、ステップアップしてください。最先端の知を活用して社会実装し、コロナ後の社会を変えていく-。地域の持続的発展のため大学が果たす役割は非常に大きいです。フリーディスカッション14「信大COI研究成果の社会実装への期待」アクア・ネクサスカーボン-プラットフォーム(AxC-PF)は、信大COIで蓄積した材料科学や開発手法をさまざまな分野に広く展開する会員制プラットフォーム。COIの先端的な研究成果を広く水平展開していくための受け皿として2019年8月にスタートしました。現在の会員は46機関。プラットフォーム内での情報交流により各社がイノベーション創出を図り、大学は新たな研究テーマのヒントを得ることが目的です。フリーディスカッションには7社が参加し、各社の水関連ビジネスを紹介したほかCOI成果への期待や新たなテーマの提案を行いました。さまざまな企業がここからヒントを得てビジネスのイノベーションを起こしていこうとしています。企業と大学で新たなソリューションを作っていく、創造型の研究も進んでいます。水は一番大事な資源です。2030年が最終目標ではなく、地球環境資源全体を考えて長期的に価値を作っていく必要があるでしょう。いただいた多くの意見を残り1年の仕上げに生かし、その後のプラットフォームの発展にも生かしてさらなる活性化を目指したいと思います。文部科学省 科学技術・学術政策局 産業連携・地域支援課長 斉藤 卓也氏講 評ファシリテーター:上田 新次郎(エグゼクティブ・アドバイザー/AxC‒PF会長)信大開発膜に注目しています。逆浸透(RO)膜で取れない低分子の有機物などを除去することができれば差別化が図れ、排水回収の分野とか水回収の分野にも適応できるのではないでしょうか。また耐酸・耐アルカリ性が高い膜があれば、半導体以外の分野や酸アルカリに特化した分野への展開も考えられます。バイオファウリング耐性も事業に活用できると思っています。研究成果に対しては、家庭用浄水器中でも末端の水回り機器やポイントオブユースへのRO膜浄水器の展開を期待します。浄水器がコンパクトになり簡便に設置しやすい上、浄水流量が増えて、たくさんの水を使うことができます。また高いロバスト性によってカートリッジの交換頻度を減らすことができると期待しています。中空糸膜を中心とした商品開発のほか、高汚濁液を濾過し脱水する「チューブラー」という膜も販売しています。信大COIは、弊社と同様、素材から装置まで一体となって開発されています。研究開発を加速され、知見やノウハウを蓄積され会員に共有していただきたいと思っています。「次世代型閉鎖循環式陸上養殖システム」の展開や、小規模集落施設に特化した精密ろ過(MF)や限外ろ過(UF)の中空糸膜を使った浄水装置を開発しています。中空糸膜が独自技術としてあり、工業用フィルターや浄水器の製造を行っています。期待としてはRO膜耐塩素性が高いもの、またオゾンで壊れない膜があるといいと思います。信大開発膜を使った応用膜の事業展開に期待しています。船舶でも海水から真水を作る需要が多くあり、陸以外でも造水装置の展開が期待されます。信大開発膜を使った油などの吸着剤や有機物選択性吸着剤、カーボン特性を生かした熱交換器などの利用展開が考えられます。スーパーなどにある水の自販機を95年に日本で最初に開発。逆浸透膜を利用しています。装置というより容器を使い捨てしない文化を作りました。2011年以降には、放射性物質を除去できる小型の装置を開発しました。COIへの提言として、教育の必要性を強調したいです。研究を糧・基礎として、技術を使った製品を世に出し、広く社会に貢献していきたいと考えています。濃縮設備として正浸透(FO)膜を使うことで下水処理システムの動力を半減できるかを検討しており、自立型の下水処理場を目指しています。信大開発膜をFO膜として社会実装に使えないでしょうか。FO膜の有望分野はいろいろあります。下水処理に使えるようになればマスが増え、膜の低コスト化が見込めます。オルガノ㈱ 中野 徹氏㈱ダイセル 浜田 豊三氏三浦工業㈱ 真鍋 敦行氏一般財団法人造水促進センター大熊 那夫紀氏㈱LIXIL 前浪 洋輝氏㈱キッツ/東洋バルヴ㈱ 伊藤 聡氏㈱環境向学 保科 壽治氏 閉会あいさつコロナ禍で一変した社会の復興のカギはSDGsをベースにしたグリーンリカバリーです。COIプログラムはグリーンリカバリーやSDGsを意識したものであり、世界中の多くの人々が我々の研究成果の社会実装を待ち望んでいます。信大COIとAxC-PFがグリーンリカバリーを実現し、人々の生活の質(QOL)の向上に貢献できるよう、信州大学も全力を投じていきたいと考えています。信州大学理事 中村 宗一郎

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