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中田 勉 博士(元医学部医学科分子薬理学教室講師、現基盤研究支援センター機器分析支援部門准教授)が日本生理学会の入澤宏・彩記念若手研究奨励賞を受賞しました

2019.04.08

 平成31年3月28日から31日に開催された第96回日本生理学会大会(神戸)において、元分子薬理学教室講師の中田勉博士(現基盤研究支援センター機器分析支援部門准教授)が、日本生理学会の入澤宏・彩記念若手研究奨励賞(イオンチャネル・トランスポーター部門)を受賞しました。
 骨格筋の収縮は、運動はもちろん、呼吸や嚥下を支えており、生命維持に不可欠であることは言うまでもありません。骨格筋収縮は、細胞膜のCa2+チャネル(CaV1.1)と筋小胞体膜のリアノジン受容体1(RyR1)という2つの巨大分子の物理的複合体が、電気信号をCa2+という化学信号に変換することにより生じます。しかし、精密なCaV1.1-RyR1複合体がどのように形成され、維持されているかは不明でした。中田博士は世界で初めて、ジャンクトフィリン(JP)というタンパク質がCaV1.1と物理的に結合し、CaV1.1-RyR1複合体の形成に関与することを見いだしました。またJPのこの働きが、骨格筋の効率的な収縮に必要であることを明らかにしました(Nakada et al.、 PNAS、 2018)。この発見の重要さと将来性を評価し、日本生理学会は中田博士に入澤宏・彩記念若手研究奨励賞を授与しました。
 入澤宏・彩記念若手研究奨励賞は、入澤宏先生と彩先生ご夫妻の遺志によって平成22年に創設された賞で、若手研究者による、心臓・循環およびイオンチャネル・トランスポーターに関連する独創的・萌芽的な基礎研究を奨励することを目的としています。入澤宏先生(大正11年11月18日-平成3年11月19日)は、広島大学教授、東京女子医科大学教授、岡崎国立共同研究機構生理学研究所生体調節研究系研究主幹・高次神経調節研究部門教授を歴任されました。その研究は、比較生理学、細胞生理学、人体生理学の多岐にわたるものでしたが、中でも特に電気生理学的手法を用いて心臓自動能の発生機構を精力的に研究されました。その過程で多くの優秀な生理学者を育成され、世界の生理学の発展に大きく貢献されました。