(6)ポリ(4-メチル-1-ペンテン)[P4M1P]に関する最近の研究

 

 P4M1P [ (-CH2-CH(CH2CH(CH3)2)-)n ] は室温において結晶相の密度が非晶相の密度よりも小さいという,氷とよく似た変な性質を持っている.かさ高い側鎖のイソブチル基を収容するために,主鎖は7/2らせんと大きな構造をとらざるを得ない.これが結晶の密度を小さくしている原因である.このポリマーは私が大学院時代からつきあっている.助手時代にこのP4M1Pのシクロヘキサン溶液から結晶化させて,その結晶変態を研究した.奉職後,私に着いた第一号の学生である鈴木寿岳君(昭和59年卒)がやってくれた.ひとりしかついていないので,朝から晩まで密着して研究した.彼にとっては少々迷惑であったことであろう.とにかく頑張り屋であった.その彼も故人となられた.残念である.ご冥福をお祈りする.鈴木寿岳君によって,いくつもの結晶変態の存在を明らかにし,相図を作成し,複雑な結晶化挙動を理解することができた[1].

 

 鈴木寿岳君が見つけた変な結晶の内,特に球晶となる結晶は興味をそそるものであった.なにしろ,直径が1〜2mmの球である.手で摘める高分子の球晶など存在するとは思わなかったのでびっくりである.この球晶化とゲル化の関係を調べたのが圓和輝君(昭和60年卒,トスコ(株)(東京都))である[2].続いて小須田正君(昭和61年卒,片倉工業(株)(東京都))はゲル化の過程を光散乱法で調べた.

 

 この研究は12年間中断していたが,本年度(平成10年度)より再開している.

 

第6節の関連論文

1. T. Tanigami, H. Suzuki, K. Yamaura, and S. Matsuzawa, Macromolecules, 18, 2595 (1985).

2. T. Tanigami, K. En, K. Yamaura, and S. Matsuzawa, Polymer J., 18, 31 (1986).

 

教育研究内容へ戻る