骨格筋萎縮過程における代謝物質の網羅解析および代謝特性の解明
【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.37 Vol.37】
要旨
骨格筋量はタンパク質の合成と分解のバランスによって決定されている.最近,筆者らは主の分解系で欠かせないプロテアソームの骨格筋特異的な欠損マウスは筋萎縮を呈したことを報告した.骨格筋特異的プロテアソーム欠損マウスは,分解系不全により,代謝異常を起こし,筋萎縮に至ったとの仮説を立てた.仮説検証のために,骨格筋特異的プロテアソーム欠損マウスの骨格筋を対象に,メタボローム解析により,筋萎縮時の代謝データを網羅的に把握することを目的とした.
骨格筋特異的プロテアソーム欠損マウスは,Mlc1(myosin light chain 1)Creとプロテアソーム必須の分子であるRpt3 floxedマウスの交配によって作出した.骨格筋特異的プロテアソーム欠損マウスとコントロールマウスの骨格筋を対象にメタボローム解析を行った.
骨格筋特異的プロテアソーム欠損マウスの腓腹筋,前脛骨筋,ヒラメ筋は,コントロールマウスのそれらと比較して,有意に小さい値を示した(p<0.05).メタボローム解析では,コントロールマウスと骨格筋特異的プロテアソーム欠損マウスの比較により,検出できた112個のうち64個の代謝物が有意な差を示した(p<0.05).以上のことから,骨格筋特異的プロテアソーム欠損マウスでは,骨格筋の代謝異常が起きている可能性が示唆された.今後は,得られた網羅データを元に個々の代謝物の検証が必要である.
「デサントスポーツ科学」第37巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
骨格筋量はタンパク質の合成と分解のバランスによって決定されている.最近,筆者らは主の分解系で欠かせないプロテアソームの骨格筋特異的な欠損マウスは筋萎縮を呈したことを報告した.骨格筋特異的プロテアソーム欠損マウスは,分解系不全により,代謝異常を起こし,筋萎縮に至ったとの仮説を立てた.仮説検証のために,骨格筋特異的プロテアソーム欠損マウスの骨格筋を対象に,メタボローム解析により,筋萎縮時の代謝データを網羅的に把握することを目的とした.
骨格筋特異的プロテアソーム欠損マウスは,Mlc1(myosin light chain 1)Creとプロテアソーム必須の分子であるRpt3 floxedマウスの交配によって作出した.骨格筋特異的プロテアソーム欠損マウスとコントロールマウスの骨格筋を対象にメタボローム解析を行った.
骨格筋特異的プロテアソーム欠損マウスの腓腹筋,前脛骨筋,ヒラメ筋は,コントロールマウスのそれらと比較して,有意に小さい値を示した(p<0.05).メタボローム解析では,コントロールマウスと骨格筋特異的プロテアソーム欠損マウスの比較により,検出できた112個のうち64個の代謝物が有意な差を示した(p<0.05).以上のことから,骨格筋特異的プロテアソーム欠損マウスでは,骨格筋の代謝異常が起きている可能性が示唆された.今後は,得られた網羅データを元に個々の代謝物の検証が必要である.
「デサントスポーツ科学」第37巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 | 北嶋康雄, 永富良一 |
---|---|
大学・機関名 | 東北大学 |
キーワード