長距離走時の効果的接地スタイルは筋と腱の力学的特性と関連する？−ケニア選手を含むトップアスリートから一般ランナーまでを含む検討−

　要旨

　本研究では，長距離走においてForefoot, Midfoot, Rearfootの接地を示す3群において，足関節の受動トルク，ならびに筋腱の力学的特性の比較を行い，また，それらの競技力との関係を検討した．世界大会入賞者から一般ランナーを含む男性の中長距離選手を対象とし（実験1：71名，実験2：23名），足関節背屈時の受動トルクを計測し，また，超音波B mode装置により筋と腱の力学的特性を同定した．群間比較の結果，Rearfoot群に比べ，Forefoot群とMidfoot群が有意に競技力が高かった．一方，足関節の受動トルク，ならびに筋腱の力学的特性には統計的な群間差はなかった．相関解析の結果，競技力の高い選手は，高い受動トルクをもつことが全体を対象とした分析，ならびに，MidfootとRearfootの群内相関において示された．また，競技力が高い選手の筋stiffness indexが高いことも全体を対象とした分析において示された．つまり，高い足関節の受動トルクと筋stiffness indexは競技力の高さと関連するが，接地の仕方によるそれらの違いは明確でなかった．

「デサントスポーツ科学」第37巻/公益財団法人石本記念デサントスポーツ科学振興財団

研究者名	小田俊明1, 岡田守彦2, 山本忠志1, 楠本一樹3
大学・機関名	1 兵庫教育大学, 2 筑波大学, *3 倉敷芸術科学大学

キーワード

受動トルク、前足部接地、超音波、スティフネス、競技力

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