水による体性感覚への刺激が立位バランス調節機能に与える効果〜水中運動の神経生理学的効果の検証〜
【大分類:7. デサントスポーツ科学 小分類:7.37 Vol.37】
要旨
本研究は水中運動における水と皮膚の接触による体性感覚フィードバック情報の入力が,立位バランス調節システムに与える効果について実験的に検証した.若年者8名,高齢者9名を被験者とし,床反力計上にて40秒間の静的立位課題を行った.若年者は,左手示指をビーカー内の水中(20℃,30℃,40℃)へ浸すWT条件と,固定点に示指で軽く触れるライトタッチ(LT)条件,何も触れないコントロール(CON)条件の5条件,高齢者はWT30℃,LT,CONの3条件で測定を実施した.その結果,若年者群ではLT条件に加え,至適温度でのWT条件において,足圧中心位置(CoP)軌跡長が,CON条件に比べて有意に減少した(P<0.05).高齢者ではLT条件,WT条件ともにCoP揺らぎの低周波成分(1Hz以下)が有意に減少した(P<0.05).以上より,水からの体性感覚フィードバック情報により,立位バランス制御機能が向上することが示された.本研究の結果は,水中運動の立位バランスに対する神経生理学的効果を期待させるものである.
「デサントスポーツ科学」第37巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
本研究は水中運動における水と皮膚の接触による体性感覚フィードバック情報の入力が,立位バランス調節システムに与える効果について実験的に検証した.若年者8名,高齢者9名を被験者とし,床反力計上にて40秒間の静的立位課題を行った.若年者は,左手示指をビーカー内の水中(20℃,30℃,40℃)へ浸すWT条件と,固定点に示指で軽く触れるライトタッチ(LT)条件,何も触れないコントロール(CON)条件の5条件,高齢者はWT30℃,LT,CONの3条件で測定を実施した.その結果,若年者群ではLT条件に加え,至適温度でのWT条件において,足圧中心位置(CoP)軌跡長が,CON条件に比べて有意に減少した(P<0.05).高齢者ではLT条件,WT条件ともにCoP揺らぎの低周波成分(1Hz以下)が有意に減少した(P<0.05).以上より,水からの体性感覚フィードバック情報により,立位バランス制御機能が向上することが示された.本研究の結果は,水中運動の立位バランスに対する神経生理学的効果を期待させるものである.
「デサントスポーツ科学」第37巻/公益財団法人 石本記念 デサントスポーツ科学振興財団
研究者名 | 木村哲也*1, 神﨑素樹*2, 塩澤成弘*3 |
---|---|
大学・機関名 | *1 神戸大学大学院, *2 京都大学大学院, *3 立命館大学 |
キーワード